なんで私が男の子の面倒をみることに!?

Tukisayuru

第1篇 なんで私が男の子の面倒をみることに!?編

第1章 私とあなたと教会と日常

プロローグ

「いたぞ! 殺れ! 一人残らず、殺せ!」

 彼らは突然、攻めてきた。続くと思ってた暇な日常がこれほど尊いものだと気づいた時にはもう遅かった。


 住んでいた家には火が放たれ、小さな火がやがて大きな炎となり、焼きつくす業火へと変わった。それがすぐ、全体に広がった。


 恐ろしい光景だった。


「売れそうなものは全部奪え! 徹底的に金に変えてやるんだ!」

 彼らは外道である。金になりそうな服、武器、家具、雑貨、何もかも奪っていった――。


 怖かった――。


「ん? なんだお前?」

 そいつは私の前に立ち、そう言った。冷酷な目で私を見てただ一言こう告げた。

「まあ。いいや。とりあえず死ね」

 殺されそうな状況なのに私は恐怖で動けなかった。足が動かない。駄目だ。殺される――。


 ガハッ


 私は斬られなかった。だけど私の顔に赤黒い液体が付いたことに気づいた。血だ――。血に驚き、前を見たら、誰かが私を庇ってくれた。口から血を吐いている。それが誰かすぐにわかった。


 母親だ――。


「ちっ、仕留めたと思ったが運が良かったようだな」

 目の前の状況に唖然していると――。


「なんだお前!」

 母が最期の抵抗でそいつに歯向かった。そして私に叫んでいった。


「に……げて……逃げて!」

 私は今の状況をやっと理解して、今籠っている全ての力を使って走った。


 ただ走った――。頭の中が真っ白になって無我夢中で足を動かして逃げた。途中に今まで友達だった彼らが悲惨の姿になってしまっている所を見てしまい、背筋が凍った――。だがいつまでも感情に浸る余裕もなかった。


「おい! 一人逃げたぞ! 追え!」


 追手が来る。振り切らないと――。私が今、出来ることはただ走るだけだ。顔に涙が溢れ、顔に熱が帯びている。

 足が痛くなってきた――。

 空気が冷たく感じる――。

 肺が焼けるように熱い――。


「いたぞ! 殺っちまえ!」

 遠距離攻撃が来たが偶然にも当たらなかったでも怖い。爆発音が空気に轟き少しつまずいてしまったが、すぐに態勢を立て直した。


「クソッ、当たらねぇ」

「なにしてる、さっさと殺れ!」

「待て、大丈夫だ、そろそろ追い着くから俺達で殺す」

 

 追手が迫って来た。距離が縮まる――。

 必死になって逃げた――。もう奴らの声も聴きたくない。奴らは仲間達となにか喋っていた。


 ふと一瞬、奴らの声が聞こえなくなった。おかしい――。体は傷ついてない。そして私は脚が地についてないことに気づいた。


 そこは崖だった――。


 私は崖から落ちた。奴らの高笑いと断末魔がこの空気を制覇されて時には。もう、なにも感じなかった。私は、目を閉じて運命に身を任せた。


 ――次に目が開いた時は、滝が近くにある、湖だった。どうやら、崖から落ちた時、そのまま川に落ちて流されたらしい。一命をとりとめた。


 ……運は……良くないな……

 家がなくなり、ふるさとが燃え尽き、友達や親が殺された――。そして私だけが生き残ってしまった。私は途端、疲労によりその場で吐いた。そしてもうあの頃の日常には戻れないという現実に対して思いっ切り泣き叫んだ――。

 泣きつかれて寝て、また起きた時は無気力になり、湖で顔を洗い、水分を摂った。そして私は、ボロボロの服のまま、ただ歩いた。目的は何もない。居場所もない。あてもなく彷徨うのだ。私の命はなんのための命だろう――。

 

 だけど、今、私は、ここで、死にたくない、、、

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