第88話 残暑の蜃気楼

残暑の・・・。


まだまだ続く暑さの中で

扇風機さえもお断りし

お勉強と偽りながら

好きな本を読んでいれば

流れる汗で部屋着が透き通る程までに汗で濡れ

肌にひっかかるシャツを脱ぎ捨てれば

水だけのシャワーを浴びて


以前の知り合いの看護師さんが

夏は暑いのが当たり前と

窓を開けるだけの生活をしていたが

よくもまぁ子供たちは熱中症に罹らなかったものだと

現在は家計を助けれるほどの大人になり

まるで戦前の子沢山で家計を助けているよう


何処まで生きていても成長できない私はと言えば

昼間から冷たいビールを飲み

此の生活から何とかして抜け出さないと

と、そう思えば思うほどに冷たいビールが欲しくなり


お前は何のために生きているのか?

そんな声が背後から聞こえれば机の前から振り返り

意味が無いならお迎えをと願い

誰も居ない一人の部屋で

グラス片手に笑ってみれば


先まで聞こへていた声も遠ざかり

残暑とは言へ厳しい暑さの中

遠い国からやって来た砂漠の蜃気楼は

私を嘲りながら過ぎて去って行ったようだ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る