たまごウケごはん

金魚屋萌萌(紫音 萌)

第1話 たまごとはしの出会い

なまたまご……彼女は生まれてから、ちょうど一週間がたとうとしていた。 

 

 名鶏のお母さんから生まれたおっきなおっきななまたまご。

 

 にゅるにゅるでねとねとの、透き通る白身。

 

 とろとろでぷにぷに、そしてとっても濃い黄身。

 

 その美しい身体をひと目見たら誰だって「美味しそう……」とよだれを垂らしてしまうだろう。

 

 しかし、幸いにもその無精の身体はまだ誰にも見つからず、硬い殻と言う服をまとい、純潔を保っていた。

 

 汚れを知らない彼女はふわふわと……惰眠をむさぼっていた。

 

 しかし……そんな平和な日々は終わりを告げる。

 

 びしっ! 自慢の一張羅にヒビがはいる。たまごがうまれてから一度も傷ついたことのない、自慢の殻に。

  

「やあっ、なにっ……!」たまごは眠りから叩き起こされ、びっくりする。

 

 彼女は……殻ごと机の角に叩きつけられていた。ごん、ごんと。びし、びしと大きくヒビがはいり、おっきな割れ目が出現する。

 

「ああっ……私の服がはがされちゃう! やめてぇ……裸にされちゃう!」そんな悲痛の叫びもとどかず、指が割れ目に差し込まれ、一気にこじ開けられてしまう。

 

「あああっ! 墜ちちゃうよぉ〜!」こじ開けられた割れ目から外界に自身の白身がまろびだし、黄身もつられてひっぱられてしまう。

 

 ぷにょょょん!

 

 たまごは……一糸まとわぬ姿で器の中に出されてしまう。

 

「はああっ……全裸にされちゃったぁ……恥ずかしいよぉ……」ぷるぷるとふるえる。器の中は白く、たまごの魅力的な身体がよく映えている。

 

 すっ、とたまごの頭上から細長い、二本の棒が降りてきた。それは赤黒く、てらてらと漆塗りの光をはなっている。

 

「な、なにこれぇ……はじめて見るよぉ……」たまごはびくびくしてしまう。

 

「こんにちは、たまごさん。私はたかい・はしよ」と二本の棒はあいさつしてきた。

 

「はっはい、はじめまして〜」おどおどと、たまごは挨拶を返す。

 

「ふふ、魅力的な身体つきね……かき混ぜがいがありそう……」はしはうっとりとする。

 

「そ、そうですかぁ? えへへ」たまごはてれてれとなる。

 

「うんうん、今まであったたまごよりとっても大きくてかわいいわ」

 

「てれます……はっはしおねーさんの身体も素敵です! ほっそりしてて、とってもスレンダーです!」

 

「ほめてくれてありがとう。じゃさっそく」ぷに、とはしのさきっぽがたまごの白身にふれる。

 

「な、なにするの」びくっとたまごは驚く。

 

「ごめんなさいね、わたしあなたをいじめなくっちゃイケなくて……」その声色は台詞とは裏腹に少しうれしそうだった。

 

 つにゅん! 白き身を赤黒いツヤツヤの棒が貫く。

 

「ふああああっ」たまごは鳴く。それは喜びのようであり

 痛みに耐えるようでもあり。

 

「ああ、その反応……たまらないわ〜♥」はしはよろこぶ。

 

 はしは白身だけを貫いていた。そしてゆっくりと持ち上げる。「やあぁんっ……」ぷりゅん、とはしから滑り落ちる。「白身もとろとろね……切りがいがあるわ……」はしはそう言いながら何度も何度も持ち上げ、白身をさらさらに細かくする。

 

「んあっ、ひゃっ、にゃっ」上下されながら、たまごは声を漏らす。「ちょ、ちょっとこれ、いいかも……」

 

「うふふ、白身を切られて喜ぶなんてへんたいたまごちゃんね……おねーさん、そういう子大好きよ〜」はしはうっとりとした声をだす。

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