完璧な美少女は貴方の為に完璧じゃ無くなります。

アキノリ@pokkey11.1

彼女は完璧な美少女.....だった。

意味が分からないのですが

第1話 告白を断った→間違いだった(編集)

俺、飯場拓也(いいばたくや)はエロゲが好きである。

その為に人とは全く趣味が合わない感じだ。

それもその筈。


エロゲとはエッチなゲームだからである。

18禁のゲームだ。

だから釣り合う筈が無いのである。


そもそもバレたら恥ずかしい。

その為に女子から告白される訳でも無く友達も居ない筈だった。

のだが.....。


「飯場君。わ、私その。貴方が好きです。付き合って下さい」


「え?は?」


愕然とする俺。

放課後に俺が何時も学んでいる在籍している教室に呼ばれた。

誰かに、来て下さい、と。

白い封筒が入っていたのでやって来たら何故か学校1の美少女が居てしかもそう言われたのだが。


俺は唖然としながら青ざめつつ目の前を見る。

告白してきた相手は蒼井翠子(あおいすいこ)という美少女だ。

めちゃめちゃな美少女である。

相当であるが。


どれぐらいかと言えば膝まであるスカートの癖に身長も163センチあり八頭身で顔立ちが整っている。

そして黒髪のロングヘアに翡翠色の宝石の様な髪留め。


それを身に付けている.....成績優秀、容姿端麗。

これだけ言えば分かるだろうか。

つまり存在で天下無双だ。


その為に俺みたいな友人も居ない様なモブ中のモブのエロゲマニアが関わっていい聖域では無いのである。

リア充、天国の聖域であるが。

50人以上のイケメンの告白を打ち破った記録さえあるのだ。


俺との関わり合いは0に近い.....筈。

なのにどうなっているのだ。

何故に俺!?


「ちょっと待って。何故、俺?何故に?どういう.....」


「貴方に惹かれたからです。私は貴方が好きです」


「.....マジか.....」


髪をかき上げ赤くなってモジモジしながら俺を見てくる蒼井。

俺は唖然としながら放課後のこの教室のオレンジ色の光を見る。

そして意を決してからそのまま前に向く。


このまま付き合って.....しまうのは汚点を残す事になるだろうとも考えた。

つまり駄目だ。

完璧な美少女の.....汚点になってしまう。


俺みたいなゴミクズが付き合って良いものではない。

エロゲが好きなどあってはならないだろうしな。

考えて俺は頭を思いっきり下げた。


「ゴメン」


「え」


「俺は君とは付き合えない。成績面とか君とは釣り合わない点もある」


「.....え.....」


断られるとは思って無かった様な。

そんな顔をしながら青ざめて震え出す蒼井。

俺はズキンと心が痛みながらも深々と頭を下げた。

そしてそのまま踵を返して歩き出す。


そのまま鞄を持つ。

それから教室から出て歩いて行こうとした時。

蒼井が小さな声で聞いてきた。

泣きそうな顔をしている。


「駄.....駄目なの何故?」


「俺は君とは釣り合わない。俺は成績優秀でも容姿端麗でもない。君にとっては俺はお荷物にしかならないから。別に良い人を見つけてほしいんだ」


「そんなの貴方が.....」


「俺は駄目さ。脳ミソも馬鹿だから。何も理解出来ないし」


「.....」


青白くなって震えた蒼井。

そして立ったまま手で顔を覆って号泣し始めた。

俺はその姿に胸が痛くなりながらも。

そのまま去って行った。

一人.....残すのもあれかと思ったが。


ゴメンな、と思いながら。

しかしこの噂。

多分、学校でも噂されて俺の人生は終わりだろう。

それも考えながら.....俺は早々と帰った。


だが.....その。

これがかなりマズかった。

何がといえば蒼井を振った事を。

後に俺は思い知る事になる。



「振ったのがやっぱりマズかったかな」


俺は帰って呟きながらエロゲを見る。

それからイヤホンを着けてエロゲで遊んでいた。

エロゲなので当然エロいシーンもあるが。

それは飛ばし飛ばしでやっている。

それから後頭部に手を添えて考えた。


「.....学校に行きたくないんだが.....」


これは絶対に噂される。

死にたいもんだな、と思える感じなのだが。

しかしモブだしな。


そんなに色々な痛みとかは無いのだが.....まあその嫌だ。

イジメとかあったらどうしよう。

俺はそんな事を考えながら目の前の雪子ちゃんを見る。

エロゲの中ではお気に入りキャラクターだ。


「でもこれも蒼井の為だしな。仕方が無い。100年の恋も冷めるって言うし」


考えながらエロゲを進めているとスマホに電話が掛かってきた。

それは080から始まる番号.....ん?

20時過ぎているのに誰だ。

思いながらイヤホンをおいて電話に出る。


すると、もしもし。飯場君の携帯電話でしょうか、と声がした。

透き通った.....声であ.....る?

俺は愕然として赤面する。

ハァ!!!!?


「もしもし!?おま、お前は蒼井か!?」


『そうです。蒼井です』


「何で俺の携帯の電話番号知っているの!?」


『それはその。あの教室に生徒手帳が落ちてたから』


「ああ.....成程。落としていたんだな。ゴメンな」


俺は考えながら額に手を添える。

そして首を振った。

俺の生徒手帳に書いていたスマホの電話番号に掛けてみた感じか。

考えながら俺はスマホを見る。

そしてスピーカーで会話を続けた。


「有難うな。その明日、学校で受け取るから。生徒手帳」


『うん。その。用件はそれだけじゃないけど』


「え?何の用件?」


『その。飯場君はえ、エッチなのが好きなの?』


エッチなの、聞いた。

その言葉に一気に唾を噴き出してモニターに唾が飛ぶ。

何、と思いながら。

俺は真っ赤に染まりながら見開く。


どういう事だ、と思っていたのだがハッとした。

確か.....エロゲに限定封入されていた雪子ちゃんのエッチな栞が生徒手帳に御守り代わりに、しまった!!!!!


「ち、違うんだ!蒼井!勘違いしないでくれ!俺は!?」


『い、良いの。気にしてないから。.....でもこれだけは聞きたい。飯場君はエッチなゲームが好きなの』


「い、いや。違う」


『そ、その。本音を聞かせてほしい。そうなの?』


「.....」


断じて違うのだが。

俺はエロゲ好きだという事を否定したが。

お願い。本音を聞かせてほしい、と同じ様に繰り返してきた。

その事に観念してから俺は、そうです、と恥ずかしさに死にそうになる。

そして萎縮する。


「ゴメンな。本当に汚れているだろ。大概の男子ってこんな感じだよ。すまない」


『あ!別に良いの。えっと。見損なった訳とかじゃないの。私ね。今からこのキャラクターになるつもりで.....居たの』


「は?.....へ?はい?」


『このキャラクターになる』


「.....」


10秒以上考えても答えが出ない。

多分.....1日掛けても答えは出ない。

まあ出る訳が無い。

成績優秀。

容姿端麗の.....女子が何故、一体全体にそうなる。


どうなっている!?

俺は真っ赤になりながらようやっと振り絞った様に、おま!?、と赤面になりながら言うが何か蒼井は耳を貸さない。

だがその中で意を決した様な声がしてきた。


『私はこの、え、エッチなキャラクターでもなってみせる。というかなる』


「ゴメン。全く意味が分からないんですが!?」


『じゃ、じゃあそういう事だから。お休みなさい』


「ちょっと待って!?切っちゃ駄目でしょ!?」


何がどうなっているの!?

俺は真っ赤になりながら必死に切らない様に止めるが。

全く聞き耳を持たず電話は切れた。

そして電話は繋がらなくなる。


え、これって何がどうなっている?

俺は呆然に.....そう考えるしかないのだが。

え?俺が悪いこれ.....?


これは俺と。

蒼井翠子という美少女との。

間違いすぎたラブコメの様なラブコメである。

エロゲでだが.....。

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