NADA

出会いと別れ

桜が咲くのは、春の一時だけ

その年の桜は、その時だけ

来年もまた、春になれば桜の花は見られるけど、同じ春は来ない


今年もまた、桜の季節がくる

桜の花は、変わらず満開になるけど、私は毎年変わっていく

去年の私は、もういない

来年の私も、今とは違う


古い私に、さようなら

新しい私、こんにちは

ずっと、同じではいられない

人も世界も変わり続けていく


時は戻らない

どの一瞬も二度とない

だから大切に生きる

今を精一杯生きる

人の命は永遠ではない

桜の木より短く儚い


人生は出会いと別れの繰り返し


生まれて、出会い

死んで、別れる


好きな人と出会い

いつしか離れて別れる


出会ったらいつか別れる

出会いと別れは対になっている


せめて、桜の季節に一緒に桜の花を見たい

桜が咲く頃に、また思い出すから

思い出して欲しいから


変わっていく人も物事も

記憶から消えてしまわないように

変わらない桜と共に心の中に、留めておきたい





私があの人を想う気持ちも、いつか消えていくのだろうか

永遠に想い続けるなんてことは、あるのだろうか






生まれる前から、もっとずっと昔から

生まれ変わって、何度も出会って、ずっと想い続けてきた気がするのに

懐かしくて、胸が痛くて、どうしようもないのに


桜がまた、思い起こさせる

この想いが消えることなんてない

また、出会えたのだから

やっと、出会えたのだから


今年の春は、今年だけの春

あの人を、誘ってみようか

思い出してくれるのだろうか

いつか見た、桜の花を


この出会いは偶然じゃない

生まれる前に約束した

また、一緒に桜を見ようと

出会えた奇跡に感謝して


もう別れないように

ずっと一緒にいられるように

この先の桜の季節を二人で過ごせるように

幸せな気持ちで、満開の桜を眺められるように願いを込めて























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NADA @monokaki

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