四時間目 国語 : 宮村亮太
先生、クラスメイトの皆、家族へ。
これを読んでるってことは俺は死んでると思う。
父さんへ、こんな早く死んでごめん。親不孝者かな。
でも俺は死ぬしか道はなかったんだ。仕方なかった。こうするしかなかったんだ。
父さんと一緒に酒飲みたかったな。あと五年後だったのにさ。本当にごめん。なんだかんだいって優しい父さんが好きで尊敬してた。だから父さんは父さんであることを誇りに思ってて。なんか、上から目線になったかな、ごめん。
母さんへ、いつも部活とかで朝早いのに弁当とか作ってくれてありがとう。
母さんの作るご飯めちゃくちゃ大好きだった。もうご飯食えないんだって思うとすごく嫌になるけど仕方ないことなんだ。俺の命日には俺の好物のハンバーグ置いててくれ。死んでも食いに行くからさ。
友美子へ、兄ちゃんがダサくてごめんな。
これからはお前一人になるんだから父さんと母さんをよろしく頼むよ。
こんな兄ちゃんで本当にごめんな。友美子はこれからどんな感じで育つのかな、変な男に捕まらずに幸せに生きてほしい。
友美子は、俺が死んだ分まで、生きてくれ。
野球部の皆へ、俺がいなくても野球部は強いんだ。だからいつも通り頑張ってくれ。次期トップバッターは山本だ。大事な試合のときに打ちまくれよ!
翔馬へ、お前とはもう十年以上の仲だよな。俺はずっとお前が正しいって思ってた。
だから今回も俺はお前が言う通り死ぬことにした。
俺が死ぬことは間違ってないよな?
俺が死ぬことで先生は喜ぶんだよな?
クラスメイトの皆は嬉しくなるんだよな?
……って、聞いても仕方ないか。
翔馬が言ったことは全部正しいもんな。
だから俺は死ぬ。仕方ないことなんだ。
翔馬が言ったから。俺はなにも悪くない。
クラスのみんなへ、俺が死ぬことは仕方ないことなんだ。
俺の死で気に病むことがあったら本当にごめん。でも俺の自殺は仕方ないことなんだ。
先生へ、喜んでください。
最後に。
この遺書は先生がずっと持っててください。
先生はこの遺書を捨てるなり自由にしてください。
これが宮村亮太の最後の願いです。
それじゃぁ、さようなら。先生。また明日はありません。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます