第4話 ヒロインが変態製造機だった事実に向き合うのが怖い件

 パタン。


 私はゲームについて覚えてる事をメモしておこうとノートに書いていたが、オープニングムービーの所を書き終えた所でどっと疲れを感じてノートを閉じた。


 ……どうしよう、このゲームの攻略対象者ってほんとに変態ばっかりしかいないわ。


 もちろん私がゲームをプレイしてた時もこの変態たちを攻略しながらゲームを進めていた訳だが、実は2週目以降からはラスボスである吸血鬼様一筋でただひたすら吸血鬼様の映像やらが見たいがためにプレイしていたから、ハッキリ言って攻略対象者たちとの恋愛なんかどうでもよかったから変態かどうかなんてあんまり気にしてなかったのだ。


 王子たちが何かアプローチしてきても、変態だなーくらいにスルーしていた。

 でもこうして改めてオープニングから思い出すと、最初からド変態の片鱗をこんなにも露にしていたのだ。

 しかもこの変態を製造したのはほぼこのヒロインである。私は現在5歳、オープニング時の年齢は6歳。このままでは1年後に私は4人の変態を生み出してしまう羽目になるのだ。

 ハッキリ言って今の私にはこの王子たちを攻略する気なんてミジンコ程もない。下手に攻略なんかしてもしも吸血鬼様が倒されでもしたら死んでも死にきれないではないか。


「……よし!」


 まずはオープニングからぶっ壊す!別に攻略する気が無いんだから、まず出会わなければ良いのでは?と思ったわけだ。

 そもそもヒロインは吸血鬼の呪いを気にして他人と関わらずに暗く過ごしてぼっちだったから一人で花園に通っていたのだ。そのせいで妖精王に目をつけられてさらには王子と出会ってしまう。

 しかし今の私は吸血鬼の呪いを気にするどころか喜んでいる。だってこの呪いってある意味、将来絶対出会うっことじゃない?口約束なんかより確実に強制的に吸血鬼様とご対面できるってことでしょ?

 ゲーム画面(しかもほぼ後半)でしか見れなかった吸血鬼様のあの麗しい姿が生で見れるとか楽しみすぎである。ならばまずはぼっち回避から始めよう。


 私は再びノートを開き、新しいページに≪計画表≫と書き出した。


 ①呪いの事は内緒だが、ポジティブに!

(さすがに親に吸血鬼に呪われてます。なんて言ったらどうなるかなんて想像つくのでそこは秘密厳守で)


 ②友達100人作る!

(妖精王とドS王子との出会いを回避するためにもぼっちにならない!ぼっち厳禁!)


 まずは出来ることからコツコツと!攻略対象者たちとの出会いイベントなんて全てへし折ってやるわ!


 1年後のオープニングムービーの内容を片っ端から壊してやろうと私は決意するのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る