学生トーク「焼き鳥が登場する物語編」

山田 武

学生トーク「焼き鳥が登場する物語編」



「焼き鳥が登場する物語か……それ、結構ある気がするんだが」


「急に呟いて一人で納得するなよ。ちゃんと話してくれないか?」


「ん? ああ、悪い悪い。ほら、焼き鳥というアイテムが登場する作品がどれくらいあるか考えてみたんだが…………まず居酒屋や出店で食べるシーンだったりで、かなり多くの作品が該当する気がするんだよな」


「話がどうでもよすぎて、最後のするするしか覚えてないな」


 今日も今日とて、くだらないやり取りが横行する学生二人による会話。

 毎度おなじみの唐突な振りに対し、もう一人の少年は溜め息を吐く。


「なんでそこだけ……いやまあ、最後に言ったけども。逆に焼き鳥がメインで出てくる作品って何かあるのか?」


「知るか。居酒屋とかをメインにした作品でも、毎回毎回焼き鳥を出すわけじゃないんだろうし……そもそも、物語の定義もかなり微妙だしな」


「……自分で言ったけど、たしかに。ドラマとかアニメだけじゃなくて、CMとか小説とかもあるのか」


「焼き鳥メインの物語、とは一言もお題に無いのが重要なのかもな。それは存在しないから、何に出るかということを考えればいいわけだし。で、結論はどうするんだ?」


 友人が謎電波を受け取ったがごとく訳の分からない話をしだすのには慣れた少年、休み時間を有意義に使うべく早々に話を纏めようとしていた。


「そもそも、焼き鳥が登場する物語がなんだという話だよ。作品がどういう感想を持たれるのか、それともどれくらいあるのかという話なのか……そこをお前が判断してくれ」


「うーん…………そうだ! 焼き鳥が出てくる作品は名作! それはエンディングで走る映像があるやつと同じくらい! ってことでどうだ!?」


「──さて、チャイムも鳴ったし準備をしないとな」


「おいぃいいい! せめて聞いてくれよ!」


 何事も無かったかのように、授業の準備を始める少年。

 友人は叫んだあと、自分もまた慌てて授業の準備を行うのだった。


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