第20話 風の迷宮①

次の日の朝。俺達は『風の迷宮』がある冒険者ギルドに向かい中に入ると大勢の冒険者達が受付に並んで立っていた。

「アレク 兄ちゃん。結構人が多いよね? 」


「そうだな、迷宮に潜ろうとしている冒険者みたいだ」


「そうなると俺達は入れないのかな?」


「それより、聞いてみるか。 すいません」

アレク兄ちゃんは受付嬢に声をかける。


「いらっしゃいませ。ご用件は何でしょうか?」


「「風の迷宮」に入りたいのですが、大丈夫でしょうか?」


「「風の迷宮」は初心者用なので大丈夫ですよ? 今並んでいる方達は領主様の迷宮の許可を取る為に並んでいます」

どうやら冒険者達は領主の許可がいる迷宮への許可申請をしている人達だ。

そんなにその迷宮は儲けるのか?


「そうですか。「風の迷宮」の入る許可をお願い致します。何せ私達は迷宮に入るのが初めてなので」


「わかりました......ではこれが許可書となります。今から迷宮に入りますか?」


「今から入ります」


「それでは、地下1階にある扉にいる管理者へ向かって下さい。そして管理者に許可書を見せていただきます」


受付嬢の案内を聞いた俺達は地下1階の扉の入り口にいる管理者へ許可書を見せると簡単に中に入る事になった。


「アレクさん。潜り期間はいつになるのですか?」


「1週間で。慎重に行きたいので」


「わかりました。お気を付けて下さい」


「「「「「ありがとう」」」」」


こうして俺達は迷宮の中に入って行った。


*****

俺達が迷宮に入る頃、領主宅には大勢の冒険者達が今かと待っていたのであった。


「おまたせしました! 今から領主専用迷宮に入って貰います。入場料は1グループ金貨5枚。期間は2日間です。支払いをしたパーティから順に入って貰います。倒した魔物から魔石を取り出してもらい、この場所で領主様が買い取りをしていただきます。それでは、そこの貴方達からどうぞ」


領主の使用人が1パーティずつ指示をして魔法陣の上に立って行き、魔法陣が光ってパーティは次々を消えて行って、全部終わった後、使用人が領主の執務室へ報告をする。


「旦那様、今日のパーティは20組で約100人です」


「そうか、今日の階層は何処になっている?」


「31階層から35階層まででございます。生き残って帰るのは恐らくいないと思います」


「回収部隊の方は問題ないか?」


「問題ありません。回収部隊には魔物除けの魔道具を付けていますので。それと回収部隊にアイテム袋を各5個持たせていますので大丈夫だと思います。それにしても旦那様の計画は完璧ですね......。31階層からは最低でもBランク以上の10人パーティがいないと攻略出来ませんから。まあ、ここグリーンシティにいる冒険者は最高でCランクですから。Bランク以上は此処ではなくロマリア帝国の迷宮に行っていので大丈夫です」


「まあ、もしも、帰って来るパーティはどうするのだ?」


「時間になって生きている冒険者達には39階層に転移する魔法陣を帰還魔法陣として案内しますので大丈夫だと思います....なんせ39階層にはがいますので。A級ランクの魔物.....ウインドワイバーンがいますから」


「これでフォスター様の為の資金が沢山集まるわ。それを使ってベルガイア国王様に献上してもらい、私がこの国の宰相になるぞ! そうなれば国費も使い放題だ!

あははははははは!」


執務室に座っている小柄な男.....グリーンシティの領主でベルマーク王国の財務大臣であるギレン=グリーンハイツ伯爵が大笑いをしているのであった。


*******

俺達は風の迷宮の20階層に到着した。

1階から19階までは俺以外の4人で倒してもらっている。

理由は簡単だ、アレク兄ちゃん達のレベル上げをしているのだ。

俺の加護を使ってアレク兄ちゃん達はどんどんレベルを上げて行った。

今ではアレク兄ちゃん達は平均レベル90ぐらいになっていた。


「この扉には階層ボスがいるので気を付けてね? やばくなったら俺が直ぐに入るから」


「リオン....お前って今はレベルいくつになっているのだ?」


「此処に入るときは無職レベル180だと思う?」


「「「「.............」」」」

沈黙する4人。

だってこれを見たらわかるはずだよ?


名前 リオン=ロックバーグ (元ロックバーグ辺境伯爵長男)

超人類 男 年齢16歳

身長175センチ 体重60キロ

HP530000 MP340000


職業 無職フリーター レベル180 

サブ職:剣聖レベル60・薬師レベル40・裁縫師レベル45


カンスト職:魔法使い・錬金術師・鍛冶師・木工鍛冶師・武闘家・戦士・探索者・神官・狩人・料理人・魔物使い・付与魔術士・結界師・剣士

攻撃S・物理防御A・魔法防御A・魔法S・器用S・俊敏A・運A


固定スキル:望月流剣術・望月流格闘術・道具箱・神眼・隠蔽操作

職スキル:剣Lv10・格闘Lv10・全属性魔法LV10・鍛冶LV10・

錬金LV10・裁縫LV9・薬作成LV8・付与魔術LV10・回復魔法LV10・木工技師LV10・弓LV10・二刀流LV10・短剣LV10・

刀LV10・棒術LV10・料理LV10・生活魔法LV10・結界魔法LV10

固定能力:全異常耐性無効・魔法創造・身体強化・魔獣召喚


その他:女神エレーナの使徒

    創造神ウリエルの使徒


19階層で剣士が100になったのでその上位職剣聖に転職して60になった。

そのお陰でHPが更に上がったのだ。

魔法使いも100なったので上位職の魔導士になるかなあ?

そう思いながら俺達は20階層のボスの部屋に入った。

其処は異次元の空間になっていて中央には4つの大きな影があった。

だんだんその影が現物になって来て、その影の姿が分かって来た。

アレク兄ちゃんがそれらを見て叫んでいた。


「こいつは......B級ランクの魔物ジャイアントワイバーンと配下のワイバーンだ! みんなこいつらは飛ぶので注意だ! クリスさん、先にワイバーン3体を倒すので協力をお願いする。ユリウスは魔法攻撃で援護、ユリアは回復魔法で回復、リオンは支援魔法とユリウスとユリアの二人に結界魔法を頼む!」


「「了解」」


「「わかった!」」

アレク兄ちゃんの指示によってジャイアントワイバーンとワイバーン3体の戦いが始まった。

最初にアレク兄ちゃんとクリスがワイバーン3体に向って飛び込んで行く。

俺はユリウスさんとマリアさんに結界魔法を掛けた。

ユリウスさんはジャイアントワイバーンに向けて火炎魔法で攻撃をして行く。

マリアさんはアレク兄ちゃんとクリスに回復魔法を掛けて行った。

俺はその隙にジャイアントワイバーンの鑑定をした。


個体名 ジャイアントワイバーン レベル88

HP20000 MP3000

耐性:火・水

弱点;風・雷・氷


「ユリウスさん! ジャイアントワイバーンの弱点は風と雷と氷です。火と水は効果ががありません!」


「リオンさん。了解した。これならどうだ「氷のアイシクルランス」!」

アレク兄ちゃんとクリスはワイバーンを2体倒して残りの1体を倒しに行った。

アレク兄ちゃん達はワイバーンが飛び上がる瞬間にアレク兄ちゃんは風魔法を帯びた魔法剣でワイバーンの両翼を切り落とし、その隙にクリスが剣でワイバーンの首元を切り裂いて行く。

ユリウスさんは結界の中から氷魔法を放って行き、こちらに向ける様に仕向けた。

ユリアさんは、前衛の二人に回復魔法を使い、回復に努めている。


「ワイバーンを倒した! 後はこいつだけだ.....後衛! ブレスが来るぞ!」

アレク兄ちゃん達がワイバーンを倒した瞬間、ジャイアントワイバーンは後衛の俺達に向ってブレスを放ったが......俺の3重結界でブレスを防いだ。


「ユリウス! 風魔法で両翼を切り裂いて地面に落とせ! リオン! クリスの剣に魔法付与してくれ!」

アレク兄ちゃんの指示に俺はクリスの剣に雷魔法の付与を施した。


「クリス! お前の剣に雷魔法を付与した。効果時間は.....3分だ!」


「わかりました!」


「アレク様、行きます! 「風のウインドランス」!」

ユリウスさんの風の槍がジャイアントワイバーンに命中するのだが、擦り傷しか与えられていない....俺はとっさに剣で攻撃する。


「アレク兄ちゃん! 俺も参加する! この距離なら問題ないから! クリスとアレク兄ちゃんは両隅に離れてくれ! あいつが地面に落ちたら攻撃を! 行くぞ! 「望月流・縦斬り烈風斬」!」

俺の縦斬り烈風斬は下から風の刃で切り裂く技でジャイアントワイバーンの片翼を根元から切り落とした。

片翼を失ったジャイアントワイバーンは地面に叩き落とされ、その隙にアレク兄ちゃんは氷魔法を剣に纏った魔法剣で、クリスは俺が付与した剣で攻撃をする。


「クリスさん! あいつの首元を狙え! そこが一番堅くないはずだ!」


「分かりました!」

3分後.....二人の首元への攻撃によってジャイアントワイバーンの首が切り落として、ジャイアントワイバーンは死んだ。


「ふう......やっと倒せた.....」


「マジでキツかった.....」


「お疲れです。貴方、クリスさん」


「あぶなかった....」

それぞれが声を出していた.....あれぐらいなら俺の奥義で瞬殺だったけどね....。

30階層までは俺は支援中心にするか?

俺はそう思っているとアレク兄ちゃんが尋ねて来る。


「リオン。それで21階層の入り口は何処にある?」


「その奥にある祭壇を押すと21階層の階段があるって言っていた」

アレク兄ちゃんは、祭壇を押すと重いのか全く動いてくれない....。

するとユリウスさんは俺達全員をユリウスさんの後ろに下がって、祭壇に向けて中級の爆裂魔法を放った......。祭壇は粉々になって、その後風魔法で粉々になった祭壇を吹き飛ばした。

すると、21階層に降りる事が出来る階段を発見した。

ドヤ顔になっていたユリウスさんにアレク兄ちゃんは怒っていた。

土下座をするユリウスさん......なんておっさんだ?


「アレク兄ちゃん達、次は21階層に行くよ。兄妹神から聞いた話ではこの階層はワイバーンが出るので基本はユリウスさんの風魔法で翼を切り落としてから攻撃したら良いかと思う」


「じゃあみんな行くぞ!」


「「「「おー!」」」」

俺達は階段を降りて行くのであった。


~作者より~

大変遅くなりました。

風の迷宮の攻略が始まりました。

次回は30階層当りで考えています。

お楽しみ下さい。

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FANTASY・ROMALIA<激動編> 松狼 @mute175118

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