第10話 子猫亭の現状を見てユートは決断をする
食堂に向った俺は、その場で立ちすくんでいた。
おいおいおい! 誰もいねえじゃないか!
客は俺しかいないか?
ウソだろう? マジで.....マジかあああああ!
『適当に座って待ってくだしゃいにゃあ』
この子、普段は語尾にネコ言葉入れるの?
しかも....噛んでいるし....まあ、良いけどね?
俺は適当な席を座って、食事が来るのを待っていた。
しばらくしてミーケが食事を持って来て、献立の内容を説明する。
『今日は猫族がいつも食べているご飯「ニャーゴライス(卵付き)」と「コーマツ草とアーツアーゲの煮物」です。』
そのご飯を見て俺は懐かしい感じを思い出た。
これは......まさか!まさか!まさか!まさか!まさか!まさか!まさか!まさか!
まさか!まさか!まさか!まさか!まさか!まさか!まさか!まさか!まさか!
まさか!まさか!まさか!まさか!まさか!まさか!まさか!まさか!まさか!
まさか!まさか!まさか!まさか!まさか!まさか!まさか!まさか!まさか!
まさかあああああああああああ!
『ニャーゴライスとは、丼に炊いたコーメを入れて、乾燥した魚カーツーオを削ってコーメの上にのせ、其処に私達が使っている調味料ショーユーをかけた物です。添え付けの卵をのせるとマイルドな味になりますよ?』
これって!
俺が死ぬ前にいた日本のネコまんまそっくりじゃん!
そして、この煮物は?
『次の煮物は、私の庭で栽培しているコーマツ草と私達が大好きでいつも両親が作ってくれた食べ物「アーツアーゲ」をショーユーとミーリンで味付けした煮物です。ちなみに出汁はカーツーオの削り粕を使いました』
これは......小松菜と厚揚げの煮物じゃん!
全く日本食じゃあないか!
俺が心の中で叫んでいると、ミーケがトドメの一撃を言った。
『普段はスプーンとホークを使うのですが....。私達、ネコ族は、いつもこれを使っています』
ミーケは二本の棒を見せると......これ箸じゃん! マジで?
この世界に日本の食器とか日本食ってあるの?
調味料シューユーは、醤油でミーリンはみりんだよな?......カーツーオの削り粉は鰹節で、コーメは米だよね......。あの兄妹の神め! なんちゅう物を取り入れたのだ?
他にあるのか日本食が.......。
俺は朝食を食べると至高な声を出してしまった。
「うめええ! 懐かしい味だ!」
『あのう....お客さん。懐かしい味って?』
「それは....気にしなくていい。さっさと残りも食べるとするか」
結局、俺は残さず食べてしまった。
「ところで宿泊は俺だけ?」
『.....はい。お父さんとお母さんが倒れた後、ここ半年で来たのは貴方だけなのです......くすん』
「お父さんとお母さんが倒れた? その訳を話してくれないか? もしかしたら協力出来るかも知れないから」
『本当ですか!』
「ああ。教えて欲しい」
『あ....ありがとうございます.....実は....』
ミーケは今の状況を淡々と話し始めた。
『私達の両親がこの街に来たのが約20年前で当時の領主様と私達の部族長が長年の付き合いで此処に宿を開きました。領主様は初心者の冒険者達が安定した生活を送れる事に料金は安くして領主様から支援をいただきました。現領主様も引き継いで支援をいただいたのですが.....ここ1年前から支援金が少なくなり、遂に半年後には全く支援がなくなりました.....。それでも庭に栽培している野菜や、泊まっていた冒険者達から肉類をいただき何とか出来ていましたけど、3か月前、ガメッツ商会が新しい事業として私達の宿の隣に『黄金の犬屋敷』を開業したの。『黄金の犬屋敷』は凄腕の料理人を雇い、従業員も美女達の色気を使い、Bランク以上の冒険者達が初心者の冒険者と一緒に組んでいるのを見て『黄金の犬屋敷』はパーティ割で初心者冒険者を引き抜きました......。そして、1か月前、ある事件が起こったのです』
「ある事件って?」
『『子猫亭の食中毒事件』です.....』
「この『子猫亭』で食中毒が起こったの?」
『....はい....。初心者冒険者の何名が、食中毒にかかり、原因が此処だとこの代官超様が言って閉めろって言われたのです。両親はそれに納得出来なくて領主様の所に行きましたが。帰った後の次の日、両親が倒れたのです!』
「なんだって。それで今ご両親は?」
「3階の部屋で寝込んでいます.....今は意識もうろうとしています」
「そして、ミーケさんが後を引き継いだのか?」
『はい。私一人では全て出来ないので、だんだんと宿泊客が居なくなり...今は誰もいません...ってユートさんが来てくれるまでは....』
「そう言う事になっているのだね?」
『はい.....』
「今、必要な事は、この宿に多く人が来てくれる方法かな?」
『はい。そうです』
ミーケが答えた後、入り口の呼び鈴が鳴ってミーケが受付に戻って行った。
しばらくして受付から怒鳴り声が聞こえてくる。
ミーケさんが怒鳴って居るみたいだ.....マールちゃんも泣いている見たい。
行ってみるか?
俺が受付に向うと
『帰って下さい!』
受付に立っている男性にミーケの怒鳴り声をした。
そばにはマールちゃんが大泣きにしてその場で座っている。
『もう、此処は閉店した方が良いぞ? お前の両親は働く事が出来ないだろう?』
『それは私が何とかします! なので帰って!』
『はいはい。それじゃあ、また来るよ。ミーケの覚悟次第で両親は助かるのになあ....』
そう言いながら男が出て行った。
「ミーケさん、今の男は?」
『あいつが『黄金の犬屋敷』の店主でガメッツ商会の会頭です。此処を買い取って何かの事業をするつもりです』
「そうだったか....ミーケさん。ご両親の所に案内してくれないか? 俺には人物鑑定のスキルがあるそれをご両親を鑑定して対策を考えよう」
『ありがとうございます.....。両親の部屋まで案内します』
ミーケさんは俺をご両親がいる部屋に案内をしてくれた。
部屋に入ると奥にボロボロのベットで寝ている男女が見えた。
多分、これがミーケさんのご両親だな?
俺はご両親に神眼を使った。
すると以下の通りの内容が見えた(今回は氏名・性別・種族・職業・身体状況の4つにして鑑定している)
****ミーケの父親の内容****
氏名 ミケール=キャットル 男 猫獣人
職業 料理人レベル20 身体状況:呪いによる衰弱
****ミーケの母親の内容****
氏名 ミーコ=キャットル 女 猫獣人
職業 家政婦レベル20 身体状況:呪いによる衰弱
呪いによる衰弱......時間が経つと衰弱して死ぬ状況(残り時間1日)
解決方法......神聖なる職業の上位回復魔法『浄化』又は、それと同様な薬『上級万能薬』で呪いが解除される。出来れば『中級回復薬』と併用に飲むと2日で回復可能
何の呪いなのかわからないなあ....でも、もしかしたら、あいつらの呪いの薬を投与させた可能性があるなあ
ご両親の内容の結果をミーケに伝える。
「ミーケさん。ご両親の状況は呪いによる衰弱だ。しかも、このままなら明日にでも衰弱死が来るみたいだ」
『本当ですか! このままなら、お父さんとお母さんは死んじゃうってこと?』
「そうなるよ。解除する方法は、聖なる職業の上位スキル『浄化』が絶対に必要だ」
『それなら此処の教会に行けば大丈夫かな?』
「それは無理だ。俺はついさっき孤児院を出たばかりで、俺が知っているシスター全員と院長先生は上位スキル『浄化』を持っていない。あるとすれば王都にある教会の司祭に頼むしかない....。しかし、王都に行くには時間がかかりすぎるのと俺では一緒に行けないんだ。俺の冒険者ランクはFでCランク以上でないと王都には行けないのだよ?」
『......そんな.....お父さん!お母さん! わあああああああん!』
ミーケさんは絶望になって泣き止まない。
俺はふとある事を思い出した考えをミーケさんに提案をかける。
「ミーケさん。これは一か八かの賭けになるのだが、此処にある薬をご両親に飲ませたら解除出来るかも知れないんだ」
『本当ですか!』
「しかし、マジで一か八かの賭けで成功率は半分だ。どうする? これはミーケさん自身で決めて欲しい」
俺は2つの小さな瓶をミーケさんの目の前に置いた。
まあ....成功率半分と言っていたけど、本当は.....いや言わない。
こればかりはミーケさんに決めないと!
ミーケさんは即答で返事をした。
『じゃあ。使わせていただきます! 王都に行くのは無理ならば此れしかありません! お父さん、お母さん! 此れを飲ませるから!』
ミーケさんは瓶をご両親の口に無理やり飲ませる....するとご両親の身体が光輝いて、ご両親の顔が穏やかになり.....そして.....
『ミーケ.....お父さん。身体の中から悪い物が出て行って、今身体が軽くなったぞ』
『ミーケちゃん。お母さんも同じだわ』
『お父さん! お母さん!』
『パパ! ママ!』
『『ミーケ(ちゃん)! マール(ちゃん)!』』
ミーケさんの家族全員が抱き合ってお互いに泣いているのであった。
2つの瓶の中身は、俺が薬師の固有スキルで作った『万能薬』でしかもレベル50のカンストになった為、『上級万能薬』を作ったのだ。
その材料は、森の奥に生えている薬草しか取れないので最低でもBランク以上の冒険者じゃないと絶対に取れない薬草類である。
何故、俺が取りに行けるのかって?
俺がこの世界で最強とされる職業、勇者、聖女、聖者、賢者、暗殺者、聖騎士より強いからだ。
兄妹の神達から聞いた話だ、この世界の最高レベルは88の戦士が最高で特殊職7つとも平均40~50ぐらいになっていない。
特殊職のレベルは上級職とはぼ同じ能力で違いは特殊スキルがあるかないかによる。
しかも、サブ職の枠を使ってもいないので、特殊職でサブ職枠を使用している俺より低い。
基本職で最高レベル80~90ぐらいだと特殊職でもレベル50台に近い能力だと思ってくれたら良いかと。
つまり、俺の無職の職レベルは70なのでBランク級の魔物なら余裕で倒せるのだ。
俺は全員抱き合っているミーケちゃん家族に提案をする。
「ミーケさんのご家族全員に提案があります。ガメッツ商会を潰しませんか? 良い方法がありますよ?」
~作者より~
次からユートのとんでもない計画が炸裂します。
もう一度確認ですが、この物語は私が思い描いている事を素直に書いています。
基本は、読んでいただけば嬉しいのですけど、
評価の☆を★に塗りつぶしていただくと今後の私の励みになりますのでどうぞよろしくお願いします。
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