串を抜くように

破死竜

かつての、同僚Nさんについて

 昔、勤めたいた会社に、

 「私、上司から、”何をしているのかわからない人”と、言われたのよ!」

 と愚痴を言って来た社員がおられました。

 僕は、思いました。

 (うん、その通りですね!)


 その方は、要らん仕事を増やしてしまう方でありまして、

 たとえば、人事部では、履歴書をトップである部長が見ていたのですが、

その前に、主任・係長・課長など、役職者全員が閲覧して、

しかも、その証明に押印をする仕組みを提案したり、

 他にも、呑み会ならば、その席で、酔った勢いで社長を呼び捨てにしていた社員がいると、翌日になってからわざわざ告げ口したり、

 また、仕事の帰りなどには、わざわざ女性専用車両に乗り込んでは、気づかずに載っていた男性の客を探し見つけ、

 「ここ、女性専用車両ですよwww」

 と、注意し、相手の狼狽する様子を眺めては嗤い、また、そのことを、翌日、

ちゃんと仕事をしている僕たちに、手柄のように吹聴なさる方でした。

 たとえ、仕事が無くても、他の社員より長く会社に残り、

この場合もまた、当然、そのことを自慢しては、

 「時間通りに帰ろうとする社員なんて」

 と、若手社員を馬鹿にするところのある方でした。。


 「あの人は、まるで、焼き鳥の櫛のような人だったなぁ」

 そう思いながら、スーパーで買って来た、ビニールパックの焼き鳥を、

ビニール袋から出しました。

 そして、お皿に移し替え、レンチンしている間に、箸と箸置きを取り出し、

温めが終わると、レンジから焼き鳥を取り出し、お皿の上に広げました。

 串を持ち、箸で、鶏肉を、お皿の上に抜き取っていきました。

 「あ・・・・・・」


 串って、食べる時には、別に要らないじゃん。

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串を抜くように 破死竜 @hashiryu

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