ニアリーイコール

奈良ひかる

第1話





 環境問題がどうたらこうたらと喚き散らかすこいつらが居なくなったら、

 どれだけのモノが削減できるのだろうか?

 なんてエコロジーな事を考えていた俺に彼女は言った。

 

 

「素晴らしい考えだわ」



 だから俺は問題を解決しただけなのに、

 どうして誰も理解してくれないのだろうか?

 彼女は身をもってそれを体現し、俺は協力したのだ。



 ちゃんと火も使わずに、土に返した。

 ちゃんと循環サイクルの中へ組み込んであげたのだから彼女もきっと

 喜んでいる事だろう。

 

 

 それなのにどうしてそんなに叱責されないといけないのか?

 俺のやった事は褒め称えらるべきだろう? 表彰されるべきだろう?

 もっと称賛されるべきだろう!

 

 

「そんな訳ないだろ! どうして自分だけが正しいと思うんだ! 」



 それは貴方も一緒じゃないか刑事さん。

 貴方もそう思っているじゃないか、だから俺にこんな事が出来るのだろう?

 自分がもしかしたら間違っているかも知れないなんて少しでも頭にある人間が

 こんな事をするかね?

 

 

「うるさい、黙れ! 」



 何を怯えているんだ? 貴方は正しい事をしているのだろう?

 なら何も問題はないじゃないか。貴方が俺にしている事も正しいんだよ、

 貴方にとってはね。

 

 

 貴方はきっと称賛されるんでしょうね? 表彰されるもかもしれませんね?

 いいな。俺もされたいよ。俺も貴方と同じように正しい事をしたというのに

 どうしてこうも違うのでしょうかね?

 

 

「お前みたいなのが居るから、糞糞糞」



 何だ、結局貴方も俺と同類じゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

 



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ニアリーイコール 奈良ひかる @nrhkr278

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