第2話

 そして学科・実技とも、既定の受講時間が終わり次第修了試験が課されるのである。そう、それは既定の教習時間とは別にである……あれはもう10年ほど前になるのだが私がそれを受けたときのことである。その教習所ではまず学科を丸一日かけて、たしか朝の8時頃から昼休憩をはさんで夕方の5時前後あたりまで座学を受けた後に少し準備をしてからテストを受けた。試験時間は40分だったか1時間だったか正確には覚えていない。あまりに簡単すぎたため見直しを2~3回やっても5分もかからないほどだったからである。まあそれは特にどうということはなかったのだが問題は次からの実技であった。そこではほかの多くの教習所と違い、実技の日程を規定期間内であれば自分で自由に教習時間を選ぶことができる珍しいシステムを採用していた。とはいっても車の教習のように1時間ずつ選べるわけではないのだが、一日に朝から昼過ぎまでのクラスと夕方から夜までのクラスが二つ設けられていた。ちなみに通常の教習所のカリキュラムでは学科を一日目に終了させた後、二日目から四日目で規定の実技24時間をそのまま3で割った8時間ずつ朝から夕方あたりまで行い、三日目の規定時間が終了後、実技試験を行い合格者に(と言ってもほぼ全員が一発で合格するのが当たり前なのだが)修了証をパパッと渡して終わり! というのが通例なのである。だが……。

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