第137話 大試着会
「さあ!今から浴衣と甚平の試着会を始めるよー!」
「「「「「 おーーーーー! 」」」」」
クレマンが呼んで来てくれたリリーと料理長、それからエルフ3姉妹と一緒に浴衣の試着をする。もちろんリリーと料理長は、専用の浴衣と甚平で。
クレマンも試着会に誘ったけど、頑なに固辞された。執事服に強いこだわりがあるのかな。いつもと違うクレマンも見てみたかったけど、こればかりは仕方がないよね。
浴衣の着方は簡単!袷を右前にし、帯で結ぶだけ!
簡単に着られるように、実は外着用の浴衣と、寝巻き用の浴衣をミックスしてみたんだよね。元を知ってるのは陽菜、大河、優斗だけだから問題なし!
帯は兵児帯。女性の兵児帯は柔らかい素材で、男性の兵児帯は女性用より少しだけ固め。結び方は蝶結びで。
リリーの帯の結び方はアレンジを加えて、少し張りのある兵児帯を使って角出し太鼓にする。
料理長は甚平だから、着方をざっと説明すれば大丈夫かな。
「桜様、サラッとしていて着心地がとても良いです!」
リリーが着ているのは薄紫色の浴衣に、若葉色の帯。とても上品な色合いで、想像していたより遥かに似合ってる。
「普通に歩くと裾がめくれて恥ずかしいです・・・。」
エルミアは菜の花色の浴衣に、青緑色の帯。少しおっとりした雰囲気のエルミアにピッタリ!
「初めて着ましたが、背筋が伸びる気がします。」
ララノアは勿忘草色の浴衣に、青白磁色の帯。凛とした雰囲気のララノアが、少し柔らかい印象に変わるから不思議。
「どうですかー?似合いますか?」
メルロスは柑子色の浴衣をに、白緑色の帯。明るいメルロスにピッタリ!
「これは動きやすくて良いですね!」
料理長は真っ黒の和帽子に、甚平。ズボンは半ズボンではなく長ズボン。厳つい料理長が、少し男前に見えてくる。これぞ和装マジックだね!
そして私にも、専用の浴衣を作ってくれていた。名前に因んで桜色の浴衣に、藤色の帯。
可愛らしい色合いが少しむず痒いけど、せっかく作ってくれたんだから、大切に着させてもらいます!
「桜様、大変良く似合っておいでですよ。」
今の今まで影のように気配を消していたクレマンが、そっと褒めてくれる。
恥ずかしいので、そこまでにして下さい。
「あれ?皆何してんの?」
「それってまさか浴衣!?」
「きゃーーーー!!!可愛いーーー!!!」
今日も訓練していたのか、湯上りタマゴ肌の3人が良いタイミングで通りかかった。
「ふっふっふっ。良い所に来たね。出来上がったばかりの新作の浴衣だよ!試着して、着心地を試してたの。3人も来てみて!」
「着る着る!日本でも浴衣は着た事無かったから初体験!」
「僕も。甚平はあるけど、浴衣はハードル高くて。」
「うーん・・・どれにしよう・・・ピンクも捨て難いけど、大人っぽく紺色も捨て難いし・・・いっそ橙色にしてみようか・・・。」
長考に入ってしまった陽菜はそのまま選んでもらっておいて、大河と優斗に浴衣を着付ける。
「何か大人になった気分がする!」
大河は錫色の浴衣に黒の帯を合わせて、少し大人な雰囲気。あくまで浴衣は、だけどね。
「少し照れくさいな。」
優斗が選んだのは深縹色の浴衣に、生成り色の帯。初めてと言う割に、すごくしっくり来る着こなし。
そして最後は悩みに悩んだ陽菜が、満を持して登場!
「じゃーん!やっと決まったよー!」
陽菜が最終的に決めたのは桃花色の浴衣に、唐紅色の帯。陽菜らしい可愛い色合いの浴衣姿に、大河と優斗の視線は釘漬け。
ふふっ。この甘酸っぱい雰囲気が何とも言えない。おばちゃん大好物です。でも下手に手出し口出しはせず、生暖かく見守るよ!お節介おばさんにだけはなりません!
温泉宿の従業員にも浴衣支給が良いかな?それとも上は作務衣、下はスカートやズボンに前掛けの和スタイルが良いかな?・・・動きやすさ重視で、作務衣にしよう!
今は浴衣作りで忙しいだろうし、落ち着いたら頼んでみようかな。
「そうそう!明日からダンジョンに行ってくる!」
「連携の確認もここ数日の訓練で出来たし、準備も万端!」
「温泉街の美味しいご飯が食べられないのと、温泉に入れないのはすっっっっっごく辛いけど、頑張ってくるね!」
温泉に入れない辛さが物凄く感じられたけど、こればかりは仕方がない。冒険者の宿命なのかな。収納袋と魔法を上手く使えば出来る気もするけど、やるとしたら優斗になるかな・・・。
うん、言うのは止めておこう。
「連日冒険者達と訓練頑張ってたもんね!怪我には気を付けて!そうだ、収納袋使ってね!」
「本当!?ありがとう!助かるー!」
倒した魔物を全部回収出来れば、かなりの金額になるから、収納袋の有無で収入に雲泥の差が出る。
カティアダンジョンで、それぞれ専用に出来るほどの袋が出ると良いんだけどね。
とりあえず、大好評の浴衣大試着会はこれにて閉会。そろそろご飯の時間だし、このまま皆で食べに行こう!
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