生まれ変わってでも結ばれたいっ!〜前世を覚えていませんけどっ!?〜

宮沖杏

第0話 プロローグ

「こんなに可愛くていい子なのに…勿体ないね…。」


大好きな祖母にそう言われるのは何回目だろう。

皺々の手で私の頭を撫でる祖母の目は私を憐れむ目だ。


両親が愛してくれなくても、私は祖母がいるだけで十分幸せだった。勿体ない訳がない。

私は祖母に笑い掛けながら答えた。


「だいじょうぶだよ、おばあちゃん。わたしおばあちゃんといられて幸せだもん。

それと、ふふふ。」

「ん?なんだい?」


「んーん!内緒!」




それともう一つ、私を支えてくれる事。

誰にも言ったことが無い私の秘密。



時々、知らない2人の夢を見る。


夢に出てくるのはどちらも男の人だが、顔つきや髪の色は全く違う2人だ。


1人は男の子、もう1人は男の人。



男の子の夢はお祈りしたり、お出かけしたり、同じベッドで眠ったりする夢が多い。


揺れる黄緑髪は柔らかそうで、私の手を握るその手は温かくて、私を見つめる目はつり目で三白眼が特徴的な優しい目。


くしゃっと笑う顔は私の心を満たしてくれる。



誰かに怒られている時には、私の前に出て庇ってくれる。

勇敢で優しい男の子。


会ったことがないはずの男の子なのにとても懐かしくて恋しい。





もう1人の男性はミディアムショートの綺麗な銀髪に青い瞳の顔が凄く整った人。

綺麗な顔は表情をコロコロと変えて困ったり焦ったり戸惑ったり。


泣きそうな顔をしたと思ったら、優しい顔をしたり、笑ったり、怒ったり。



不思議とどの顔も嫌じゃない、寧ろ可愛く見えたり、心がくすぐられるような気持ちになる。

最初はどこか遠くに感じるその人が、たまにぐっと近くなり気が付けば私を抱きしめてくれている。


縋りたくなるほど求めているような気持ち。



2人共会話をしているはずなのに、声にモヤがかかり、聞こえ辛いし起きてしまうといつもはっきりと覚えていない。


2人の言葉を覚えていたいのに、何を言っているのかわからない。

それなのに、何度も見たいと思ってしまう。



幼いながらにこんな夢を見る事が少し後ろめたくてなのに大切にしたくて、大好きな祖母にも話せない。



夢を見ている最中は温かい気持ちになれる。が、終わりはいつも憂鬱だ。


最後は決まって、私はいつも同じナイフで心臓を刺されて死んでしまって目が覚める。


それも含めて、たった1人の家族にも言えない秘密なのだ。

その夢は17歳になった今もたまに見てしまうほど、私にしっかりと染み付いている。

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