プロローグ
「フェリシア・スワローズ。今日この時をもって貴様との
長かった。
目の前で思い切り私を
私は様々な感情を
「それが殿下のお望みでしたら」
そのどちらの反応にも目立ったリアクションを取る事はせず、私は二人に背を向けた。婚約者に婚約を解消された
まだいけない。
まだ、表情を、
すっかり二人から私の姿が見えなくなっただろう学園から
もういいよね。
「ふ、ふふふふふ! やっと! やっと婚約破棄してくれたわ!」
ああもう、さっきから、込み上げて来る笑いを
「これでシナリオ
私は
これまで私は殿下の婚約者として次期王妃としてスワローズ家長女として
私はテンションは高いままながらはしたなく大笑いするのをすっとやめる。そして
「ありがとう、リリちゃん。私を
リリアナ・イノシー。彼女は本来であればこの世界──この〝ゲーム〟の〝悪役令嬢〟であり、〝主人公〟である私に負け、むしろ今の私のように殿下に追い
「あの殿下、性格が俺様な時点で私には友人になるのも無理なタイプだったけど、リリちゃんは本気で好きみたいだし…うん、きっと
私は無責任に
感謝するだけ感謝した私は、さっさと頭を切り
「私はゲーム通りに行けば平民降格でその辺の町に家だけ
我ながら独り言がとんでもない事になっているけど、これは今まで表には出さず我慢し我慢し我慢し続けて来た反動が出ているだけだから、今は許してほしい。と、誰にするわけでもない言い訳を一つ。
「ああ、正式に婚約破棄が決定するのと家と学園から放り出されるのはいつかしら! ゲームでは後日談としてさらっと流されちゃっていたからわからないのよね! この先を知っているからわくわくは出来るけど、放置プレイが長過ぎると決定前に飛び出しかねないわ!」
私はわくわくわくわくと草の上をごろんごろん転がり騒ぎ、最後に思う存分感情を発散させる。
それから
フェリシア・スワローズはまだ家を放り出されていないし、正式には殿下の婚約者のままだし、レディローズと二つ名を
私が本来の私として生きて行けるのは、もう少し先。ちゃんとわかっていましてよ。このドレスについた草や土の
● ● ●
私、フェリシア・スワローズが人とは違うと自負している所を二つ言おう。
一つ、演技力。
二つ、私には前世の
乙女ゲームとは、プレイヤーが女の主人公を
その大きな理由は、レディロが主人公の名前を自分で決めるタイプのゲームで、デフォルト名…
おかしいと思う要素だけならいくつもあった。外国人、しかも超金持ちの家に生まれたのはいいとして、スワローズなんて
それはそうと、前世の記憶というか常識的価値観を幼いころから持っていた私は、生まれ変わった直後の記憶こそはっきりとは覚えていないけど、両親が権力大好きなクズであると気が付いた。さらには両親の視線言動その他
そんな私がこの世界の事に
ところで私は、俺様な性格というものに前世の兄のせいで激しい
そんな訳で、私は前世でレディロをプレイした時も俺様殿下セス様のルートは各エンド一周だけしかしていない。こんな事口に出そうものならちゃんと全エンドやっているんじゃねぇかよと思われそうだけど、他のキャラのルートだと全員各エンド
さて、俺様殿下と婚約しこの世界をレディロと
だが、そんな私の思考なんてつゆ知らず俺様殿下あの
一応
そんな私の天敵である婚約者、そしてそれと結婚させる
それが六歳の時。今から十年前だ。
そうなると次の問題は、どう平和的に、出来る限り自分の負担を少なく婚約を解消し、家から逃げ出し生きて行くか、だ。
しかしなんと、その方法も手段も最初から私は知っていた。夜中
レディロの悪役
しかも! 願っても無いことに、リリアナは俺様殿下セス様が好きだからと婚約者である主人公が気に入らず嫌がらせをしまくる。それに主人公はそんな事やっていませんわと否定し続け、
気付いた
それからの日々、私はリリちゃんが嫌がらせをして来る
しいて心残りを挙げるなら、私が俺様殿下の婚約者だったばっかりにリリちゃんに
さて、そこそこ搔い
なんといっても今この場所は裁判所。私が居るのは
「では、フェリシア・スワローズ嬢。この婚約解消に異論は無いかね」
静まり返った裁判所、正式な場で私の待ちに待った言葉で陛下が問う。問うというにはその
私は真っ
思えば陛下にもお世話になった。立場上あまり会う機会が多かったとは言えないけど、私は心優しいこの方が好きだった。前世
それでももちろん、私の答えはただ一つ。
「はい、
今この時をもって私は! 晴れて! 自分にとって最低最悪な未来からの
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