第二百九十八話 空と天使班とムカデ駆除③

(ちょっと思考が胡桃っぽいけど……全員、僕の経験値にさせてもらいますよ)


 と、空は周囲のムカデ怪人の位置を確認する。

 すると見えてきたのは、思った以上に危機的な空達の現状だった。


(なるほど、そこまで広くない通路で、どうしてムカデ怪人はそんな四方八方から攻撃できるのか疑問だったけど……こういうことか)


 最初のムカデ怪人は地面から体全体を出し、空へと襲いかかってきた。

 けれど、全てのムカデ怪人がそうしていたわけではないのだ。


 上半身だけを地面から出している個体。

 頭だけを出している個体。


 このムカデ怪人は喋れないようだが、頭はいいに違いない。

なるべく大勢で攻撃できるよう、立ち位置をしっかりと考え調節しているのだ。


(考えてみれば、最初のムカデ怪人は囮だったのかもな。ああして、僕達の注意を引いたうちに、残り全員が同時に襲いかかる)


 ここまで連携が取れた怪人ならば、スカルボーンが全滅したのもよくわかる。

 並みの非合法ヒーロー集団では……いや、プロヒーローでも勝つのは難しいに違いない。


 そう考えるならば、ここに空が居て本当によかった。


「時雨の言う通り、この怪人たちはかなり危険だ。外に出ていたら、どんな被害がでていたか……でも、僕なら」


 ここで全てを倒すことが出来る。


 敵の数は目視した限り、当初の見込みより一体多い三十三。

 その全てを瞬時に倒すには――。


「剣技 『七閃』」


 高速の斬撃を七回同時に繰り出す剣技。

 これを五回連続して使うだけ、それで全て終わりだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る