第二百九十七話 空と天使班とムカデ駆除②

(っ……もう間に合わない!)


 ならばすることは一つ。

 それは――。


「魔眼『王の左目』!」


 直後、全ての時間の流れが緩やかになる。

 空のレベルがあがったからに違いない。

 飛んできていた粘液はほぼ完全に、空中で静止している。


 だがしかし。

 空のするべきことはここからだ。


「魔法 『ブラックスミス』!」


 左右の手にそれぞれ作り出したのは、片手剣である。

 空はすぐさま辺りを見回し――。


(防ぎきれないのなら、斬りはらう!)


 飛来する全ての粘液に斬撃を叩き込む。

 途中、石化した片手剣が何度も折れるが、『ブラックスミス』を使う空には関係ない。

 また新しい片手剣を作り出せばいいだけなのだから。


「ラストっ!」


 空は撃ち落とした粘液の数は合計三十二。

 つまり、単純計算――周囲には同数のムカデ怪人が居ると言える。


(ちょっと思考が胡桃っぽいけど……全員、僕の経験値にさせてもらいますよ)


 空は石化していた片手剣を再度作り直す。

 そして、周囲の怪人の位置を改めて確認するのだった。

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