第二百八十七話 空と天使班の作戦会議

 任務を受けてから数時間後。

 現在、空は目的地となる廃ビル傍へのファミレスへやってきていた。

 目的は当然ご飯を食べること……ではない。


「じゃあ手筈としては、時雨が最初に投降を促す感じでいいかな?」


「はい……戦闘を行わないで捕まえられるのなら、それに越したことはありませんからね」


 と、向かいの席から言ってくる時雨。

 彼女は「ただし」と一言、空へ言葉を続けてくる。


「最初に索敵した方がよいかと」


「あぁ、確かにそうだね。中の状況がどうなっているのかとか、敵が正確には何人いるのかとか……そういうのがわからないと危ないよね」


 そこで空は時雨の隣に座る氷菓。

 彼女のことをじっと見つめるのだが。


「…………」


 と、氷菓は涼しい顔してシェイクを飲んでいる。

 時雨はまだ知らないに違いないが、空は索敵の問題はほぼないと考えている。


(氷菓さん、今はまったくやる気なさそうに見えるけど、やるときはやってくれる人だ。きっとビルに入る前の段階になったら、件の索敵能力で見事に索敵してくれるんだろうな……多分だけど)


 時雨も言っていたが、氷菓は考えが読めないのが本当に痛い。

 行動が予測不能なのだ。

 その点。


「あたしに任せないよね! あたしが索敵してあげるんだから!」


 こうして空の隣に座っている胡桃は、確かにわかりやすい。

 空がそんなことを考えていると、時雨が彼女へと言うのだった。


「興味深いですね……いったい梓さんはどうやって索敵するつもりですか?」

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