第二百三十三話 空とリーシャはお買い物してみる

『じゃあ、スキル……技能書がたくさん売っている場所を見たいんだけど』


 空のそんな言葉から数十分後。

 現在――。


「エクセリオンが誇るセントラルマーケットへようこそです!」


 と、言ってくるリーシャ。

 彼女はエントランスホールでくるっと、踊るように空へと続けてくる。


「どうですか? ここは地下の職人街から、沢山の武器や技能書が送られてくるんです! ここなら、きっとクウ様の目に留まる技能書も見つかるはずです!」


「たしかに、すごいな……まるでショッピングモールだ」


「しょっぴんぐもーる、ですか?」


「ああ、うん。僕達の世界ではこういう場所を、そういう風に呼ぶんだよ」


 空は興味津々と言った様子のリーシャに、さらに言葉を続ける。


「僕達の世界のショッピングモールには、エスカレーターとかエレベーターっていう自動で上の階に上がれる乗り物もあるんだよ。リーシャが見たら、きっと驚くと思う」


「じ、自動ですか!? どのようなものか、まったく想像できません……魔法を常時発動させているのでしょうか?」


「機械で作られてるんだけど。まぁ、詳しくは僕もわからないかな」


「クウ様でもわからないなんて……クウ様の世界は難しくも素晴らしい世界なのですね」


 と、お祈りモードに入るリーシャ。

 機会があれば、リーシャにも空の世界を見せたいものである。


 と、空はそんなことを考えながら、周囲を見回す。

 すると見えてくるのは多くの店だ。

セントラルマーケットに入る前、外見を見た限りここは五階建てだった。


(つまり、今見えてる一階部分以外にも、多くの店が……少なくともこれの五倍分くらいの店がここに入っているんだよね)


 セントラルマーケット。

 名前の通り、エクセリオンの中央にあるわけだが。

 見る限り、大都市の中央にあるに相応しいと言わざるをえない。


 と、空がそんな事を考えていたその時。


「あ、あのクウ様」


リーシャが空へと声をかけてくるのだった。

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