第二百二十八話 空は予定を立ててみる②

 リーシャお祈りモードから数分。

 彼女はようやく満足したのか、空へと言ってくる。


「クウ様、本題なのですが。明日は何かご予定があったりしますか?」


「明日……明日は、うーん」


 今日は流れでファルネールに泊まることになったので、仕方ないとして。

 明日はそろそろ日本に帰らないとまずいに違いない。


 もちろんそれは胡桃にも言える。

 さらにシャーリィもそうだ――長く連れ回せば、彼女の家族が心配するに違いない。

 と、空がそんな事を考えていると。


「あ、あの! 一日中でなくても大丈夫です! 夕方まで……お昼まででも!」


 と、切羽詰まった様子のリーシャ。

 空としても、こんな状態の彼女にノーを突きつけるのは、さすがにためらわれる。

 故に空はリーシャへと言う。


「うん、夕方までなら大丈夫だよ。明日は日本に戻るつもりだったけど、明後日に食い込まなければ――」


「く、クウ様は帰ってしまわれるのですか!?」


「え……帰るけど、言ってなかった?」


「言ってません! 言われていれば、あんなに落ち着いていませんでした!」


 リーシャは「そんな、クウ様が帰ってしまうなんて」とうつむいてしまう。

 どうやら彼女は勘違いしているに違いない。


「帰るっていっても、もう一生ファルネールに来ないってわけじゃないよ。というか、多分定期的に来るよ」


 下手をすれば毎日くらいの勢いで。

 それに今となっては、空は勇者と人々から認められ、頼られているのだ。


(うん……どう考えても放置しておけるわけないよね。その魔王っていう存在)


 と、空がそんな考えていると。


「よ、よかったです……っ! てっきりもう戻ってきてくれないのかと思いました……で、ですが、これで安心して本題についてお話が出来ます!」

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