第百六十五話 空と勇者の力
「これ、は……」
今のは本当に空が放った魔法なのか。
と、呆然としたいところだが、あいにくとそんな場合ではない。
「まだ魔物は残ってる、今度こそキミは下がっていて!」
言って、空は少女の手を放し、魔法『ブラックスミス』で片手剣を作り出す。
とその時。
「っ!?」
突如、空の身体から力が抜ける。
理由ならばわかり切っている。
(あの子と手を放すと、やっぱりブーストが切れるのか。でも、召喚によって付与されたっていう方のブーストは、まだ残っている!)
それは未だ、空の身体からいつも以上の力が湧いてきていることから、容易にわかる。
そして、同時もう一つわかることがある。
(なんだろう、負ける気がしない……いや、今の僕なら絶対に負けない)
と、空は片手剣を片手に駆けだす。
すると、最初に反応してきのは二体のゴブリンだ。
「ぎぎぎぎ!」
「ぐげげげげげげ!」
奴等は剣とこん棒をそれぞれ構えるが。
空はそんな二体をすれ違い様に瞬殺。
続いて、空はその勢いのままオーガへと突っ込む。
オーガは当然、先のゴブリンとは比較にならない強さを持っている。
例え、空がレベル4であってもかなり苦戦するに違いない。
……のだが。
「っ!」
空はオーガが繰り出す巨大な戦斧による攻撃を、必要最低限の動きで躱し切る。
無論、魔眼を使わずにだ。
(相手の動きが遅い……なんだこれ、僕の身体はどうなっているんだ?)
と、空はここでまたしても驚く。
オーガ相手に、そんな事を考える余裕があることにだ。
「勇者様! 負けないでください、勝って……勇者様!」
と、聞こえてくる少女の声。
空が考え事をしているのを、攻めあぐねていると勘違いしたに違ない。
(あの子を不安にさせるわけにもいかないか……だったら!)
これで決める。
と、空はオーガの振り下ろし攻撃にあわせ、片手剣を振う。
すると、凄まじい重量を誇るオーガの戦斧が、容易くすっ飛んでいく。
空はそれを確認。
その後、片手剣を持つ手と反対の手を、オーガの上半身へ翳し。
「魔法『ファイア』!」
すると放たれるのは火球。
けれど、それは――。
「なっ!?」
空が見たこともないほどに、巨大な火球なのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます