第百五十二話 空と怪人ボーガン

「うぐっ……」


 と、ついに倒れてしまうマッスル。

 彼はもう動けないほどのダメ―ジを受けているに違いない。

 そして。


「ぐはははははっ! 残念だったなヒーロー!」


 と、怪人は砲丸を構え、マッスルにとどめの一撃を放とうとしている。

 だが、そんなことをさせるわけにはいかない。

 故に。


「待て!」


 空はタイミングを見計らい、物陰から飛び出る。

 すると、予想通り――。


「あぁん? なんだお前は? 俺の真理を見に来たのか?」


 と、空に興味を向けてくるボーガン。

 奴は空へ更に続けてくる。


「頭に紙袋を被ったうえ、上半身裸……そんなふざけた格好で、真理を求められると思っているのか!? ぐはははははっ!」


「いいから、彼から離れろ!」


「彼ぇ? それはひょっとして、この筋肉男のことか?」


 と、わざとらしい仕草のボーガン。

 奴はニヤリとマッスルを見たのち、空へと続けてくる。


「おっと、悪い……ちょうどよさそうだから、頭を踏んでしまった……ぐふっ、ぐははははははははっ!」


「なるほど、喋れても所詮は怪人だ」


「あ? それは――」


 ボーガンの言葉は途中で止まる。

 その理由は。


「いいから黙って、マッスルさんから離れろ!」


 空が即座に魔眼を発動し、ボーガンの顔面を掴んで投げ飛ばしたからである。

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