第百二十七話 空と胡桃と冒険者事情

「ど・う・し・て・よ!」


「ふ、ふぇ~~~~~~!」


 空が胡桃のもとへ行き、最初に聞こえて来たのはそんなやりとりだった。

 なお、当然前者は胡桃、後者は受付のお姉さんである。


 胡桃は気分よく冒険者登録をしにいった。

 それがどうして、少し目を離した間にこうなるのか。


 とりあえず、今は考えるよりするべきことがある。

 それは当然。


「胡桃ストップ! それ以上はダメだって! はい、やめ!」


 と、空は胡桃と受付のお姉さんの間に割って入る。

 そして、彼はそのまま彼女を受付から引き離す。

 すると、胡桃は「だって」と空へと言ってくる。


「あの受付の人が、訳分からないこと言ってくるんだもん! あたしのせいじゃないんだからね!」


「ちょっ……だから、一旦落ち着いてくださいって!」


「うっさいのよ、このバカ!」


 ダメだ胡桃は完全に冷静さを失っている。

 これでは話を聞くことが出来ない。


 空はそんな事を考えながら、チラっとシャーリィを見る。

 すると、彼女はコクリと頷き――。


「クルミは奴隷だから、冒険者になれないって言われたんだ!」


 と、説明をしてきてくれるのだった。

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