第五十五話 空と第三階層――未踏破領域
時はあれから数分後。
空はシャーリィの片足の上に乗っている岩を拳技『破砕』で粉砕。
周囲に落ちていた骨と、制服を使って添え木を作り彼女の応急手当をしていた。
すると。
「ぅ……」
と、聞こえてくるシャーリィの声。
彼女はゆっくり目を開くと、空へと言ってくる。
「どう、なったんだ……シャーリィは――っ!」
「動かないで、足が折れてるんだ! 応急手当はしたけど、すぐに歩けるような怪我じゃない。今は安静にしてないと」
「安静……クー、シャーリィ達は……どうなったんだ?」
「地震でダンジョンの床が抜けて落ちたんだよ。ここは多分……第三階層だ」
「第三……階層、そんな」
と、シャーリィは信じられない様子だ。
だが、それも仕方のないことだ。
なにせ、先ほども言った通りこのダンジョンは第二階層まで。
長年ギルドが調査した結果、そう結論付けられているのだから――このダンジョンに未踏破領域は存在しないと。
「クー! ここは危ない! シャーリィの手当をしてくれたことは、とっても嬉しい! でも、早くここから脱出しなと危ない!」
と、再び言ってくるシャーリィ。
彼女は空の服をくいくい引っ張りながら、続けて言ってくる。
「クーのゲートだ! あれを使えば、クーの世界まで避難できる!」
「…………」
「クー?」
と、シャーリィは首を傾げる――空の態度から何かを感じ取ったに違いない。
空はそんな彼女にゆっくりと、なるべく不安にさせないように言う。
「よく聞いて、シャーリィ。ゲートは使えない」
「え……な、なんで――」
「もう試したんだ。この第三階層では異能『道具箱』が発動しない……それどころか、魔法も使えなかった。剣技と拳技は発動したけど、魔法や異能が使えないんだ」
「そ、そんな……だって、それじゃあどうやって――」
と、そんなシャーリィの言葉は続かない。
なぜならば、スケルトンが――第一階層に居たものとは、放つ雰囲気も姿も異なるスケルトンがそこに居たのだから。
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