第五十話 空と初めてのダンジョン
時は受付のお姉さんトークから数十分後。
現在、空は街付近にあるダンジョンへとやってきていた。
お姉さんの説明、及び道中のシャーリィの解説をまとめるとこうだ。
このダンジョンは簡単で初心者向け、だが経験値稼ぎにはもってこい。
理由は簡単。
敵そのものは平原などの野良モンスターより遥かに強力。
しかし、このダンジョンに出るモンスターは三種類のみ。
骸骨剣士のスケルトン。
植物人間のトレント。
そして、巨大蜘蛛のケイブスパイダー。
最後者以外は動きが単調であり、パターンを予習すれば攻略は容易とのこと。
更に、前者と比べてやや強い最後者のケイブスパイダーは、滅多に出現しないらしい。
となると、気をつけるべきはダンジョンのトラップだけ……なのだが。
なんとこのダンジョン、全フロア踏破済み――トラップなどの類は全て解除されているのだ。
もっとも、受付のお姉さんも言っていたように、平原などより危険なのは確か。
油断するつもりはこれっぽっちもない。
と、空は改めてダンジョンの入り口を見る。
その後、彼は先ほどから思っていたことを口にする。
「ここがダンジョンの入り口か……なんだか、思っていたのと違うな」
「何が違うんだ?」
と、シャーリィはひょこりと首をかしげてくる。
空はそんな彼女へと言う。
「ほら、あそこ――ダンジョンの入り口に騎士が二人立ってるでしょ?」
「立ってる! ダンジョンに入る人を管理してるんだ! 資格がない奴を入れないようにするのが、あいつらの仕事だ! あとはダンジョンに入ったり出てこない奴を、行方不明者として届け出るため、入る時に名前を書かされ――」
「ちょっと待った! 僕ってダンジョンに入る資格とか持ってないけど、大丈夫なの?」
「クーは資格を持ってる! 大丈夫だ!」
空はそんな物をとった記憶はない。
いったいどういうことだろうか。
「そもそもダンジョンに入れるのは冒険者だけだ! さらに、ギルドから強さを認められた冒険者のみ、ダンジョン系のクエストを受けられるんだ!」
と、シャーリィは言ってくる。
なるほど、つまり――。
「僕が受けたクエストそのものが資格ってこと?」
「そうだ、そういうことだ! だからクー! 早く中に入ろう! 今日はシャーリィも大活躍だ!」
と、シャーリィに促された空。
彼は入り口の騎士に手続きをしてもらい、ダンジョンへと入っていくのだった。
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