第四十一話 空と災難はまだまだ続く②

「なるほどね……ある日、ゲートの向こう側が異世界だと気が付いたと」


と、言ってくるのは梓である。

彼女は腕を組み、ふむふむと顔を動かしながらさらに続けてくる。


「にわかには信じがたい話だけど、その異世界でやらレベルやら技やらを身に着けたのなら……辻褄はあうわね」


「てっきり、梓さんは信じてくれないと思いましたよ」


「信じるわよ。突拍子もないことが起きない限り、ワーストのあんたがこのあたしに勝てるなんて在り得ないんだから!」


「あ、あははは……」


「っ! その態度やめて! ご機嫌取るように笑ったり、後輩のあたしに敬語つかったりさん付けしたり……イライラするからやめて!」


「…………」


 空としては、先輩相手にため口利いてくる梓に、それだけは言われたくない。

 と、彼が内心モヤモヤしていると、梓はさらに言ってくる。


「あたしのことは胡桃でいいわ! 一応あんたはあたしのご主人様なわけだし、胡桃って呼ぶことを許可してあげるから、そう呼びなさい! 敬語もなしなんだから!」


「わかったよ、胡桃……はぁ」


「ちょっと! 今のため息なによ!」


「ちょっ――すぐに首掴んでガクガクしてくるのやめろって!」


 空は自称奴隷を短期間に二人獲得した。

 しかし、二人の奴隷――シャーリィと胡桃では大きな差がある。


(命令ばっかりしてくるし、すぐに手を上げてくるし……こんな奴隷いらない!)

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