第四十話 空と災難はまだまだ続く
あれから空は校長にこっぴどく怒られた。
さらに、マスコミから取材を受けたり、色々と大変だった。
後者の取材は校長がフォローをしてくれたため、そこまでの長時間拘束されることはなかったのが幸いだ。
あとから聞いたとこによると、あの試合は梓の体調不良ということで片付いたらしい。
さてさて。
長めの回想が終わり、ここからは現在の話。
空は現実逃避をやめ、ようやく現実を直視する。
「へー、男の子の部屋って初めて入った……こういう感じなのね。まぁ、あたしが居ることを光栄に思いなさいよね!」
と、梓は空のベッドに座りながら言ってくる。
空はそんな彼女へと言う。
「それで? 梓さんが『どうしても僕の部屋に来たい』って言った理由はなんですか?」
「連れてって!」
「はい?」
「あたしを異世界に連れていきなさい! 奴隷になったら連れていってくれるんでしょ?」
「…………」
空としてはそんなこと言った覚えがない。
しかし、後半意識が飛んでおり、気が付けば梓がデカい声で奴隷宣言していたのは事実。
(意識があやふやだったとはいえ、僕は女の子になんてことさせてしまったんだ……うっ、自己嫌悪感が辛い)
と、空がそんなことを考えていると、ジッと疑わし気な視線を向けてくる梓。
彼女はベッドの上で足を組み替えながら、ややイラついた様子で言ってくる。
「あんたまさか……嘘じゃないでしょうね。あたしにあんなことを言わせて、全部嘘だったら……」
「い、いや! 嘘では、ない」
「そう、ならいいわ。もし嘘だったら、あることないこと言いふらして、あんたの人生終わらせてあげるんだから……ただでさえ、あたしに奴隷宣言させたってニュースになってるし」
「は!?」
「ん? まだニュース見てなかった?」
と、梓はスマホの画面を見せてくる。
開かれているサイトの記事の見出しには――。
梓胡桃、奴隷宣言!!
お相手は謎の劣等生!
(これ、もう僕の人生終わっている気がするのは気のせいかな……)
記事にある空の顔にはモザイクがかけられている。
しかし、特定など容易にできるに違いない。
なんにせよ、これに加え梓が余計なことを言いふらすのは止めなければならない。
空はそう考え、しぶしぶ異世界の全てを梓へ話す。
そして、自らの異能『道具箱』の真価を彼女へ見せる決意をするのだった。
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