レベルの概念があるのは僕だけなので、最強無敵の英雄になってみる〜二つの世界を繋げるチートスキル『道具箱』でどんどんレベルアップしていたら、美少女だらけの最強ハーレムパーティ結成していた件〜
第三十四話 序列三百六十位ワーストVS序列十位
第三十四話 序列三百六十位ワーストVS序列十位
「その顔……それが気に入らないのよ!」
と、梓は言いながら突っ込んでくる。
彼女はそのまま空の腹へ向け、掌底を放ってくる。
だが。
(浅い! これなら軽く後ろに飛べば躱せる)
どんなに強くても、梓はまだ一年生。
対人戦の経験は少ないに違ない。
梓に一矢報いる。
空はそのタイミングを探していたが、今この時こそがチャンスだ。
(こんなに早く来ると思わなかったけど、攻撃を躱してすぐにカウンターに移る)
あとは実行するのみだ。
空は梓の攻撃を見極め――。
「っ!」
と、空を唐突に襲う悪寒。
これには覚えがある。
(異世界でゴブリン相手に何度も感じた……避けなければ――)
致命の一撃をくらう。
空は自らの直感に従い、全力で回避行動に移る――当然、当初と違って最小限の回避などではない。横っ飛びの全力回避だ。
するとその直後。
空が先ほどまで居た空間を、何かが猛スピードで横切るのを感じる。
(なんだ今の……梓さんの異能は防御主体の異能のはず)
絶対防御の梓胡桃。彼女が持つ異能は『イージス』。
その能力はシンプルであり、自分の周囲に不可視の盾を張る能力。
要するにバリアだ。
「そうとでも思ってるんでしょ?」
と、空の思考にかぶせるように言ってくるのは梓である。
彼女は拳を握ったり開いたり、まるで見せつけるよう続けてくる。
「時々居るのよね、あんたみたいに勘違いしてるやつ」
「勘違い、ですか?」
「そう、あたしの異能 『イージス』はただの盾じゃない。壁として使うことも、身にまとうことも……こうやって」
と、梓は再び拳を引く。
それと同時、空を襲うのは先ほどと同じ悪寒。
空は再び、なんとかそれを避けることに成功する。
けれど、このまま不可視の攻撃を直感で回避し続けるのは、不可能に――。
(いや、待てよ。本当に不可視なのか? おそらく梓は盾そのものを射出してきてる)
だが、盾に『飛べ』と念じて攻撃できる類の異能ではないに違いない。
なぜならば、その直前に梓はしっかりと掌底を放つという攻撃モーションを入れているのだから。
(そうだ。不可視なんかじゃない……さっき感じた悪寒も、直感なんかじゃない)
それは空がファルネールで実戦を続けた事により獲得した、戦闘経験の積み重ね。
相手の攻撃の起こりを、相手の僅かな動作で予見する力。
「……次は僕の番だ」
空は自分に力が付き始めていることを確信。
ゆっくりと梓へ向き合うのだった。
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