12分の3年物語

牛寺光

出逢いの一ヶ月

-31日目

「もしも、俺がも惚れさせれれば結婚してくれるんですか?」

「うん。そうすれば私も断る理由はないからね」

せつも納得してくれてるってことですか?」

「そうだよ。ちなみに私もね」

「その言い方で雪深ゆきみに断られたらやばいですよ」

緑色がない寒々しい公園で男の人は湯気の立つ缶コーヒーを片手、もう片方の手に器用に包装された包みを持っていて、女の人は男の人がつけているものと同じ柄のマフラーに寒そうに顔を埋めているいかにもカップルの格好で立ち話をする二人。

片方は黒い髪で長髪の大学生くらいの女の人。もう一人は黒髪、短髪で着崩すことなく真面目に制服を着ている男の人。


もしもこんなにも真面目そうに制服を着ている青年がたった9か月前まで全く校則を守ってなかったと言ったら信じてもらえないだろう。そのくらい真面目に生活をしている青年。





つばめさんはどんな性格かな…」

周りに緑が見え始めた道を楽しみな気持ちと胸の中が空白になったようなさみしさを覚えながら歩き、病室まで行く。そうして見知った、けれどもある意味では初対面の『燕さん』に一目惚れを装って声を掛ける。

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