第7話 初めての学食

四限が終わるチャイムと共に待ち望んでいたお昼休みになる。お昼は1時間休みがある。残念ながら給食はないと言うことは先ほど、クラスメイトに給食袋がないことに気づきみーちゃんに聞いたらそんなのあるわけないじゃんと笑いながら教えてくれた。

どうやらお弁当持参か、学食なるものに行くとのこと。そこではお金を出せば好きな食べ物が食べたいだけ食べれる!ラーメン、チャーハン、唐揚げ弁当好きなものが食べれるだけで元気が出でくる気がした。


お財布を確認すると、9000円入っている。小学校のお小遣いの倍の値段に驚き、また大金に感じた。お年玉はもらっていたがすぐに親行きだった。小銭の500円玉ですら、5枚も入ってる……。昨日のシャルさんも2800円ポンと出してたし……。すごち。


「ど、どんなマネーやねんこれが大人てやつか」

1人驚いていると、隣からシャーペンでツンツンとつつかれる。


「柳永〜ケータイの使い方教えるのいつにする?」


その言葉でハッと意識が戻ると共にケータイの使い方を教えてもらう約束を思い出した。


「あ、今教えて下さい。」


「はいーケータイだして?番号わかる」


番号とは、パスワードのことだろうと解りますと返事を返した。ケータイはバックの中にあるため、手に取るがボタンがなく、聞き返した。


「あのボタンないんですけど」


「スマホなんだからないでしょっ何言ってるのもうー。あ、電源20パーか大丈夫そうだね」


それからパスワードを入れる。ホームページには反対の意味のopposeと書かれた看板を持っている青年のイラストが載っていたが、一瞥するだけにして言われた通りRainのサイトを開く。

そこには沢山のメッセージが来ていた。中にはシャルさんからも連絡が来ていた。


眺めていると1番上に美玲より「「どう?来てる」」とメッセージが届いており、慣れない手つきで返信した。

そこから動画の見方やネットな見方など一通り教わった。


「教えてくれてありがとう」


「どういたしましてっご飯どうする?私学食だけど学食に行く?連れも一緒だけどかなことみえなんだけどわからないよね?」


「場所わからないし、お願いしてもいいかな?」

知らない人だけど、今日何十人も知らない人に会ったし今更だなと思い2つ返事をした。



「うんっ行こ行こ久しぶりだねご飯一緒に食べるの」


彼に言いながらドキドキしている私がいた。

いつもは険しい目つきで仏頂面だっだが、今の彼にはそれは無い、まるで正反対の優しい目つき、無邪気な笑顔それを気にしてない様子の彼。会いにきた知らない女の人達も、私が女だからわかるけど明らかに表情が変わって声色がいつもより高かった。


かなことみえは中学からの彼氏持ちだから大丈夫だと思うけど……。そんなことを思いつつ彼を学食まで案内した。


その道中――。


「広いね――」

「なんのことやねん」

アホみたいなことを言う彼を連れて学食についた。



「おおー!凄いレストランみたいに広い人もこんなにいるんだね」


「語尾力皆無なの?ほら食権買って」


彼の手を取り食権販売機前の行列に並ぶ。

私は手を取りドキドキしてるのに、彼は全く気にしてない素振りに少しイラッとしたが記憶喪失であることを思い出し、行列に並ぶと共に手を離した。


「ラーメン、いや牛丼もある、ピザはないのかあ、親子丼もある!でもなぁ」


めっちゃ目がキラキラしてる。


「はぁ早くしなよ、また違う日に買いなよ」


「じゃあ醤油ラーメンで!」

そんなこんなで、食券を渡し、受け取る流れを説明してかなえとえりが場所を取ってくれている席に着いた。


「はいー美玲こっちだよ」

「あ、美玲と和歌鷹くん?噂になってたよ」


「お待たせっ」

「失礼します」


席に着いて、記憶喪失のこともあり自己紹介から始まった。おっとりしてる喋り肩の人がかなえさん、お調子者に感じる人がえりさんとのことだった。お互い1年1組とのことだった。

どうやら同じ中学で一緒だったらしいが、5年前から来ている和歌鷹には知るはずもなく、中学話題の話についていけないことを悟り、醤油ラーメンをすすっていた。


ちなみに、美味しかったが、かなえさんに聞いたら。

「ラーメンオススメは味噌だよ?これがみそ、なんてね」


寒いギャグをかます人だった。


「それよりクラスRainみた?」

「なになに?えー!まじかまぁ事後だししゃないでしょ」


「さ、食べたし私たち次体育だから着替えないと」


「そうなのーまたねー」

「またね美玲っそのまま彼氏にしちゃって次お披露目期待してるよ〜」


「幼馴染だつーのえりの彼氏の咲夜くん優しくていい人だよね?」


「うそうそ、かれぴっぴは勘弁してチクらんといて有る事無い事言わんといて!」


「言わないよ〜冗談冗談」




そんなこんなで彼女達も急いでいるのかすぐに教室へと帰っていった。クラスまで帰る帰り道。


「えりの彼氏の話、冗談だからね?私そんな性悪じゃないから」



「ん?なんのこと?それより体育てサッカーかな?それとも体育館ならバスケかなバレーかな?」



「あ、体育館の場所わかんない、体育着あったかな」など話してる彼は全く気にしていないようで美玲はそんな彼を見て安心したのであった。

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