【KAC20226】お題「焼き鳥が登場する物語」 焼き鳥から始まる攻防

テリヤキサンド

焼き鳥から始まる攻防

澄み渡った空、気持ちいい風が吹くなか、一人の男と鳥魔物が対峙している。


なぜ、そんなことになっているかというと、この男が鳥魔物のテリトリーに入ったどころか、配下の鳥魔物を狩り、そこで焼いて食べていたのだ。

辺りに広がる羽毛をみて、ボスである鳥魔物が怒り、男に突撃したところが冒頭の話。


男は焼鳥をほうばりつつ、好戦的な目を鳥魔物に向け、鳥魔物は怒りに目が血走ってる。


 「コケエエエエ!」


鳥魔物は強靭な脚を使い、男へと肉薄し、蹴りを顔に向けて放つ。

それを男は串だけ使いさばく。


 「コケッ!?」


細い竹串なのに、なぜ耐えられるのかわからないが、それだけの力を持っている男に冷静になる鳥魔物。

そこからはフェイントをいれつつ、緩急を入れた攻撃で翻弄するも串だけですべてを受けきる男。

ついには、体力が尽き、降参のポーズで倒れる鳥魔物。


 「ココケ。」

 「なんだ、殺せとでもいうつもりか?」

 「コケ。」

 「うーんでもなあ、俺はお前を殺すつもりはないぞ。」

 「コケケ。」

 「あ、これか。これはそこの町で買った焼き鳥だぞ?ここの魔物は倒してないぞ?」


よく見ると羽毛は散ってはいたが、血の跡はなかった。

そして、寝転んでいる鳥魔物がいるのもわかった。


 「コケ?」

 「冷めた焼き鳥なんて食べれたもんじゃないだろ?まあ、ここで食べたのは悪かったと思うが。」

 「コケケケ?」

 「あ、どうして、ここにいたのかだって?これでもテイマーでな。相棒探してるんだよ。それでさ、お前一緒に来ないか?」

 「コケ!?」

 「いやさ、俺とここまで戦えて、意思疎通もできるんだから、ちょうどいいんだよ。それにその力、この群れで必要か?」

 「コケェ。」


実際のところ、ボスをはってはいるが、畏怖対象とみられているため、群れからは遠巻きにみられてるのだ。


 「それになにより、お前が気にいったんだよなあ。で、どうだ?」

 「・・・。」


手を差し出して来る男。

鳥魔物はちらっと群れをの方を見ると特に気にした様子はなく、いつも通りに日向ぼっこをしている。

その光景を見て、決心がついたのかその手に自身の羽をのせる。


 「よっし、よろしくな!ええと、ヤキトリ!」

 「コケっ!?」

 「ああ、他の名前が思いつかなくt、ってクチバシでつつくなよ!」

 「コケェェェェエッェエエ!」


そのまま、追いかけっこをしながら、一人と一羽は野原を離れていく。

その背中に群れの暖かい視線を浴びながら・・・。

 

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