第9話
楽しかったディズニーも終わりいつも通りの日々が続いた。
少し変わったことは、喧嘩が少し少なくなったことと、母がまた仕事をすることになったということだ。
母は毎日17時まで働いた。
私たちが休みの日は家にいてくれた。
そんなある日にまた喧嘩が起こった。
母はすごく泣いていて父は怒り狂っていた。
母の顔は赤くなっていた。
また何かやってしまったんだと思ったけど、毎回おんなじことの繰り返しなのでそのまま放置していた。
だが、母がずっと部屋に引きこもったままでリビングに戻ってこなかった。
いつもは、すぐにリビングに戻ってきてごめんねと一言言って子供たちのところに来て優しく抱きしめてくれた。
だから、嫌いになれなかった。
父は先にリビングに戻ってきて私たちに言った。
「ママと一緒にいたい?
ママと離れ離れになってもいいかな?
パパはもう限界なんだ。
ごめんね。
今までは子供たちのために必死に頑張ってきたけどこれ以上はもう無理なんだ。
ママが必要な年頃かもしれないけどママは全然反省しないし、子供のことを考えてないんだよ。」
そう言って私たちを抱きしめてくれた。
その後、私は走って階段をのぼり母の元へ行った。
母は、バッグに荷物を泣きながらまとめて入れていた。
その近くには離婚届の紙が落ちていた。
慌てて母は隠したのでよく見えなかった。
「ごめんね。」
母は震えた声で言った。
私は涙を流しながら言った。
「ママどこにも行かないで。
一緒にいたい。
捨てないで。
だからちゃんと話して仲直りしてほしい。」
なんでこんな言葉がすぐに出てきたのだろうか。
私は、誰よりも近くで両親の喧嘩を見てきた。
早く仲良くなってほしい。
元の生活に戻りたい。
何より、バラバラになりたくないとずっと思っていた。
よく、ドラマで離婚という言葉が出てくると離れ離れになって両親のどっちかにはもう会えないという展開になっているドラマがある。
なので、離婚をすると母か父のどちらかにはもう会えないと思った。
私の家の場合、子供たちは全員父のところに行く流れになってしまうので母には会えなくなってしまう。
父はたくさん頑張ってくれたが私は絶対に離れたくなかった。
私は必死に母に泣きついた。
声が枯れるまで泣き叫んだ。
母は優しく頭を撫でてくれた。
そんな姿を父はこっそりドアに隠れて見ていたらしい。
その後、両親は話し合ってまた、家族会議が開かれた。
その結果、離婚はしないことになった。
またいつも通りの仲のいい家族に戻ることができた。
そんな時、私に新しい弟ができた。
喧嘩もなく、無事に闇金から借りたお金を返すことができたらしい。
弟が産まれるのを家族全員で立ち会った。
初めて生命の誕生を目の前で見た。
私は代表として弟のへその緒を切った。
今でもしっかり覚えている。
固くてハサミではとても簡単には切れなかった。
力を入れないと切れないが緊張と不安で手が震えてしまった。
無事出産を終えて元気な赤ちゃんが産まれた。
人生でとても貴重な体験だった。
現在はとても元気な中学1年生になった。
こんな幸せがずっと続いて欲しかったのになぜまたこんなことになってしまったのか。
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