第8話 夜襲

 俺たちは村長の厚意に甘え、村で休息を取ることにした。


「ま、当然俺は一人部屋だよなぁ。」


 この屋敷にいるのは村長夫婦とその娘、そして俺たちパーティーだから男が二人しかいない。うち一人は村長だからなあ。

 俺が部屋に荷物を置いているとノックがあり、村長の娘のエリーちゃんが「ご飯できたから来てください」と呼びに来てくれた。


「すいません、夕食も頂いてしまって。」


「いえいえ構いませんよ、娘の命の恩人なんですから。それに明日はゴブリンを退治してくれる予定でしょう、ちゃんと力をつけてもらわないと。」


 ダイニングには俺と村長しかいなかった。まあ奥さんは料理の仕上げにかかってるだろうし、女性陣は準備に時間かかるだろうからなあ。と言うか、エリーちゃんが俺の方を先に呼びに来たみたいだ。

 しばらくすると女性陣もダイニングに入り、食事をとることになった。





 夕食を食べてしばらくした後……、ミケが耳をピクピクさせながら、きょろきょろしだした。その時俺の機嫌感知も反応を示した。


(おいおい、ひょっとしてゴブリンの襲撃か?初心者の初期作成キャラでの最初のシナリオだと、普通こういうこと起こらないのだが……。)


「ミケ、どっちだ。」


「にゃ。」


 そう言って、ある方向を指差すミケ。

 さてどうするか。今は食事どきだからといって、装備をほとんど解いてしまっている。特に鎧を着ていたコゼットは、今は普段着になってしまっている。そう考えるとコゼットに鎧を着て貰う時間を稼ぐために、回避特化のミケと俺でゴブリンを撹乱しておき、コゼットたちを待つほうがいいか……。

 って俺、種族的に夜目効かないんじゃね。


「ミケ、おそらくゴブリンだと思うから、先行して撹乱していてくれ。すぐ俺も追いつく。他のみんなは、コゼットが鎧を着込んでから来てくれ。じゃあすぐ行動開始。」


 ミケはすぐ飛び出し、他の3人は部屋に戻りコゼットが鎧を着る手伝いをするようだ。俺の方は……。


「すいません、火を貸してください。」


 すでにかまどの火は落ちていたんだが、よく考えると俺、炎魔法を使えるよなってことを思い出し、炎魔法使って松明に火をつけることにした。

 俺は健と松明を持って、危険感知の気配をたどりながら、こんなことならばシナリオ確認の技能スキルを使うべきやったなあと、後悔しながら走った。

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