助平な剛太は今日もフラレる
しょうわな人
第1話 五歳の剛太
今、僕はドキドキしながら剛太の顔を見ていた。お湯をかけられてズブ濡れになった剛太だけど、僕にお湯がかからないように庇う為に、僕を地面に押し倒して、上から僕を見つめている。
「かおるー、大丈夫だったか? お湯、かからなかったか?」
少し心配そうにそう聞く剛太を見ながら僕は顔が少し赤らみながらも何とか返事をした。
「う、うん。剛太のおかげでお湯はかからなかったよ。有難う」
「そうかぁ、良かった」
ホッとしたのか、剛太は僕の上から退いてくれた。そこに、アパートの扉が開いて、体にバスタオルを巻いただけのお姉さんが出てきた。このアパートは僕と剛太の家の向かい側にある安アパートで、何故かお風呂が道路側にある。そこに住んでるこのお姉さんは大学生で、十八歳。
「ゴメン、大丈夫だった? 痴漢と間違えてお湯をかけちゃった!?」
お姉さん、間違ってないです。痴漢は剛太です…… 僕はその言葉を飲み込んだ。まさか、五歳の子供がお風呂を覗こうとしたなんて考えてもないだろうお姉さんに、真実を言っても信じて貰えそうにない。
それよりもその格好は危険です。早く剛太から離れて下さい。
僕がそう思った時には既に遅かった。お姉さんは余程慌てていたのだろう。バスタオルの合わせ目がハラリと緩み、その裸体が剛太の目と鼻の先で露わになってしまった。
「キャーッ!」
慌ててバスタオルで前を覆い隠すお姉さん。だが、剛太は微動だにしない。
「み、見た?」
「うん、お姉さん。俺と結婚して下さい」
「鼻血たらしながら何を言ってるかな、この子は? さあ、取り敢えず入って。服を乾かさなきゃ」
優しいお姉さんは相手が五歳の子供という事もあり、あっさりと羞恥心を捨てて剛太の服を乾かす為に部屋に招き入れてくれた。
そして、剛太は中に入ってキョロキョロしだす。
「ご、剛太。ダメだよ。あんまりジロジロ見たら」
「なんでだー? 見たって減らないから見てもいいだろー? 父ちゃんがそう言ってたぞ」
ダメだ。僕は剛太のお父さんを思い出してそう思った。
「そんなに女の子の部屋をジロジロ見るもんじゃないのよ。そんなんじゃ、モテないよ。剛太くん」
そこにパパッと服を着たお姉さんが新しいタオルとバスタオルを持ってあらわれた。
「えっ? そうなの?」
「そうだよー。剛太くん、さあ服を脱いで。コッチにちょうだい。乾燥機にかけてあげるから。体はコレで拭いてね」
お姉さんがそう言うや、素早く全裸になる剛太。僕は見ないふりをしながらも、剛太の股間を見てしまった。そしたらお姉さんが、
「うわー、剛太くん。本当に五歳? お姉さんの彼氏よりも大きいけど……」
そう言ってガン見していた。しかし剛太はお姉さんに彼氏がいる事を知ってガックリと項垂れてしまった。
「そ、そんな…… お姉さんに彼氏が居たなんて…… それじゃ、さっきの告白は……」
「ん? やだあ、剛太くん。お姉さんと結婚したいなら、先ずは十八歳にならなくちゃダメだよー」
お姉さんにそう軽く言われて、剛太の五歳の恋は終わった。
その夜、剛太はお母さんにこっぴどく叱られて、僕もママに怒られた。そして、僕達二人は性根を治してもらいなさいと、翌日から剛太のお父さんの弟で、武術を教えている
それが後々、剛太を目覚めさせるんだけど、それはまだまだずっと先のお話。
次は小学校での剛太の恋を教えるね。
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