第23話

「うーん。零。これが確かに召喚というやつだろう。でも、相手は空間を強引に捻じ曲げているわけではないようだね。つまり空間とは、自然哲学者のニュートンの空間概念では、連続的で均質な無限の広がりになっていて、絶対空間を提唱されていたが、ライプニッツはそれを否定し、幾何学などで合理的に説明できる相対空間というのを提唱したんだ。そして、20世紀後半の超弦理論では空間は9次元だとされるんだけど、いずれにしても現代の物理学の磁場というものがあって、その大蛇は空間というよりは磁場から出現しているんだね。磁場は目には見えないし、手で触れることもできないとされるんだ。なので、生体電流で磁場に干渉しているといえるだろう。どこかにはその磁場が必ずあるから、そこを叩けばいいのさ」


 父さんが明快に召喚のことを説明してくれた。


「わかった……任せろ!!」


 ぼくはその磁場とうのを探せばいいんだ。 

 早くに元を叩かないといけない。

 さすがに冷や汗と疲労感がでてきた。。

 こちらの生体電流もかなり弱くなってきている。

 磁場に残りの生体電流で直接関与すれば、この大蛇をこれ以上召喚できないようにすることができるはずだった。

 

 確か磁場とは磁気力の作用する空間だった。

 もとより地球には地の底。つまり内部でいつも金属が流れていて、そこから磁石の力が溜まって磁場ができるんだ。ぼくたちのそして、無論、魔術師たちの体内の生体電流も地球の内部の金属が関連しているのだろう。


 生体電流……。


 この生体電流でもって、磁場の磁力の流れを変えてしまえば……。

 恐らくは、召喚している場の方に、つまりは向こう側の磁場へ大蛇が戻されるはずだ。


「零君。ほら、見つけたわ! あそこよ!!」

「?!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る