第7話「路地」
「あれ?」
「ん?なに?」
友人は気がつかなかった様だが、私はそれに気がついてしまった。
一分ほど前のこと…
友人と他愛ない話をしながら歩く先、大体五十メートルくらいの距離にいた人がビルとビルの間にある狭い路地へと入っていった。
意識もせずに視界へと入ってきただけのその光景は私の友人の様に気にしない人は全く視界に入らないだろうが、私は普段誰も曲がらない路地へと入っていったその人のことを視界に捉えていた。
通り過ぎる際に私はその路地の方へと視線を送っていた。それは、気になった為に確めようとしていたというわけではなく、路地があると視線を送ってしまうという癖による条件反射みたいなものだった。
そこには誰もいなかった…
その路地は都会でたまにある荷物が道を塞いでいて通り抜けられない路地だったが、確かに見たはずのその人は跡形もなく消えていた。
「どしたん?」
「…何でもない。早くいこう」
私はそう言って誤魔化し、足早にそこから立ち去った。
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