第6話

「シイちゃん。娘らが近くにすんでたら、ちょっとは手助けしてやれるのになあ。」

「せやな。うちのおばあちゃんがしてくれはったようにな……せやけど、今の若い人らがそれを望むかどうかや。裕美も美香ちゃんも、ここから離れて行ったしな……」

「昔は、もめ事言うたら、嫁と姑が多かったけど、最近は、娘の母親が手出しして、お婿さんともめる話しも聞くしなあ……難しいこっちゃ……」

「キミちゃん、うちは、助けてもらえるんやったら結構なことやと、細かいことを気にせんとやって来たわ。けど、今時は、折り合いがつけられへん人ら、多いやろ。結婚した途端に離婚ていうのもよう聞くで。そんなになっても困るしなあ。」

「若い二人が、ちょっとずつでも話しおうて、少しずつ、ええ方に変わっていくように願うしかないなあ。シイちゃん、なんやかんや、心配してても、できること言うたら、いつも、米やら、味噌やら、海苔やら、お菓子やら、娘に送るだけやな。」

「キミちゃん、うちも似たり寄ったりや。小さい子どもがおるさかい、オムツも送ってやるけどな。お金はかえってためにならんやろ。」

「それ、うちも賛成。余分なお金があったら、気いが大きなって、無駄に使うかもしれん。」

「せや。娘らかて、ええ大人や。自分で頑張ってもらおか。キミちゃん、そろそろ、失礼するわ。」

「シイちゃん。また、来てや。」

「キミちゃんかて、カットしたげるわ。マッサージも。店で待ってるさかい。」

帰りかけたシイちゃんが

「そうや、知ってるか?明日、なんとか流星群が見れるんやて。」

と言った。私はふと、思いついた。

「そんなら、寝てしまわんように頑張って、願掛けせんと。」

「ほんまやな。うちもそうしよ。」

何を願うかは決っている。きっと、シイちゃんも私とおんなじことを考えているやろな。


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