第145話 絶望に愛を重ねて

 ミュエル視点



「ずっと、助けて欲しかったのに……あの時、アヤイロちゃんから助けてくれれば良かったのに!!」



 第三者にとってわがままに聞こえてしまうそれは、私の魂を揺さぶる言葉だった。


 私を信じてくれていたことへの嬉しさ。

 その想いに応えられなかった悔しさ。


 色んな感情が溢れてくる。



「ごめんね、分かってるよ。

 ミュエルさんが苦しんでること。

 全部分かってるのに、願っちゃうんだ。

 わたしのために力を振るってくれれば良かったのにって」



 瞳の中にずっと写り続けている少女のことを、私は無意識に神格化していた。


 私の夢を叶えてくれた女神のような人。


 ご主人様のことをそんな風に思っていた。

 遠い空の向こうの存在なんだって敬っていた。


 ご主人様は私にとって憧れと畏敬の対象になっていたんだ。


 でも、見上げるという行為は間違いだった。


 メイドを超えた関係に至りたいのなら、崇めてはいけなかった。

 手を取って隣を歩きたいのなら、私は対等を目指すべきだった。


 理想を押し付けていいのは遠くから眺めている間だけだ。


 理解して支えたいのなら、深層へと入り込まなければいけない。

 綺麗に見える表面だけじゃなくて、奥底に沈む憂鬱を抱き締められるような覚悟を決めなければいけない。


 そんな強く結んだ決意を、私はようやく抱くことができた。


 メイドという夢を叶えられたのはご主人様だけのおかげじゃない。

 ご主人様と私が一緒に叶えたものなんだ。


 この夢は二人で手にした想いの結晶で、揺らぐことのない絆。


 なんだ……最初から私達は隣に並んでいたんじゃないか。



「私も……そう思う。

 あの時、私が動けていればご主人様を安心させてあげられたかもしれない。

 あの日のあの瞬間の後悔がずっと頭の中でぐるぐる回っているんだ」



 歩いてきた道を振り返ると、そこにはいくつもの失敗があった。


 どれも取り返しのつかない最悪の挫折。


 あの時もしも、私が走り出していれば。

 そんな選択肢の余地が無数にある。


 例えば、アヤイロ・エレジーショート。

 思い出すだけでも悍ましさを感じてしまうその女。


 彼女に捕らえられたご主人様を躊躇せずに救い出せていれば、違う未来も待っていたのかもしれない。


 あるいは、私がもっと早くにご主人様と出会えていれば何かが変わっていたのかもしれない。


 後悔と呼ばれる悪魔は常に首を絞め続けてくる。


 これは一生付き纏ってくる呪いだ。


 過去から目を背けてはいけない。

 だけど、過去に縛られることは逃避に過ぎず。


 今を生きる私は目の前にいる最愛と向き合わねければならない。


 私が変えられるのは過去ではなく、未来なのだから。



「だから、私はご主人様の隣であなたを支え続けたい。

 これが償いになるのかは分からないけど、私はあなたの側で生きていきたい」


「それは……すごく嬉しい……かも……。

 でも、そんなの駄目だよ。

 償いなんていらないし、私はミュエルさんに相応しくない最低な女だから……」



 ご主人様は再び本音を抑え込んでしまい、最初の勢いは完全に失せていた。


 いつもと同じあなたがそこにいる。

 かつての私も同じ場所にいた。


 これまで、私達は言葉を選んで口にして仮初めの会話を演じていた。

 瞳に瞳は映るのに、その奥は真っ白に光っていて何も見えなかった。


 ううん、見ようとしていなかったんだ。

 光を失ってでも輝かしい太陽を見つめるべきだった。


 だから、今こうやって本音を打ち明けてくれるのが新鮮で凄く嬉しい。

 

 思いやりという嘘で塗り固められた優しさの絶景はもう必要ない。


 綺麗事を捨てたあなたの言葉が聞きたい。

 真実を教えて欲しい。


 メイドと主人、友達、憧れと憧れ。

 私はそんなありふれた関係を超えたい。


 あなたの特別になりたい。


 だから。



「ご主人様、もっと聞かせて。

 想いを全部聞かせてよ。

 私と会話をして欲しい」



 黒いドレスの少女は口を小さく開閉させて浅い呼吸を繰り返す。

 肩を上下に揺らして胸に手を当てる。


 あと一押しで吐露しそうなのに、聡明な理性が本心を抑え込んでいた。

 それは私に対する気遣いの現れでもあって、無理矢理喉に手を突っ込み吐き出させるなんて芸当はできそうにない。


 もどかしくて仕方がないけど、私は待つことしかできなかった。


 ご主人様なら、その壁を超えてくれるはずだから。


 数秒か、数分か。

 幾らか経過した時、重い吐息を混じらせた声が聞こえてきた。


 その声は耳をとかして脳裏に焼きついていく。



「あ……あっ、あ、愛されるのが怖い、だって永遠の愛なんて存在しないから。

 いつか、必ず終わりがやってくる。

 だから……わたしは依存を選んだんだよ。

 永遠に続けられる関係はそれだけしかないと思ったから。

 ミュエルさんのできないことをわたしが教える。

 それを続ければ、ずっと一緒になれるって思ってたんだ。

 でも、みゅ……ミュエルさんは巣立ちそうになってて、わたしなんてもう必要なくて、わたしなんかが一緒にいてもミュエルさんの足を引っ張ることしかできなくて……。

 だから、いつかは離れなきゃいけないって思ってるのに、そんなの……そんなの嫌だから……」



 狂った星空の下で行われる独白。

 次第に声は震え始めて、瞳の隣へと涙を溜めていく。


 全ての言葉が私の胸へ突き刺さっていた。


 ご主人様はずっとこんな不安を抱えて生きていたんだ。

 それを知らずに、私はただ呑気に生きてきた。


 だけど、それこそがご主人様の求めることだろう。

 どこまでも私の幸せを望んでいる。


 どうやら私は、自分で思っている程単純な人間じゃないらしい。

 それでもやっぱり、頼って欲しいと思ってしまうから。



「離れるのが嫌なら離れなければいいじゃないか。

 私は絶対に離れたくない」


「ううん、もう離れてるんだよわたし達。

 みゅん……ミュエルさん、わたしよりどんどん先に行っちゃってるから。

 わたしなんかと一緒にいちゃ駄目なんだよ。

 あなたのことを幸せにしてくれる人だって、何処かにいるはずだよ」


「いない……そんな生き物はどこにもいないっ!!

 一人で先になんて行かないし行けない!

 料理も掃除も洗濯も、全部全部ご主人様から教わったんじゃないか!」


「……でも、全部追い抜かれちゃった。

 わたし、怖いんだよ。

 成長したみゅんみゅ……ミュエルさんに捨てられちゃうのが。

 ミュエルさんがわたしから離れないって聞いた今も……。

 それでも、それでも怖いんだよ!!

 ……ごめん、めちゃくちゃなこと言っちゃってるね……わたし」



 離れなきゃいけないなんて抜かしているのに、心の奥底で離れたくないと願っている。


 どちらの背中を押せばいいかは一目瞭然で、私もその道を進みたいんだ。


 私は死んでも一緒にいたい。



「ミュエル・ドットハグラがここに誓う。

 もう二度とあなたから離れることはないと。

 あなたが望んでも離れてあげない。

 あなたが何処か遠くへ消えたとしても、私は必ず探し出してみせる。

 もう……離ればなれは嫌なんだ……」



 自分でも驚いていた。


 心の内側をこんなに曝け出せるなんて思っていなかったから。

 こんな独りよがりな言葉をすらすらと口にできるなんて思っていなかったから。


 全身を焼き尽くしてしまうような熱い炎は、私を作り替えてしまった。


 これは、あなたが灯した消えることのない炎なんだよ。



「そんなこと……いわないで……駄目だよ……」


「ご主人様、私に教えて。

 悩んでたことも、苦しんでたことも。

 もっと色んな言葉が聞きたい」


「でも……これ以上は……」



 体はいくら強くなっても、心はどこまでも繊細なまま。

 大切な人の前では弱いところを見せず、綺麗な側面だけをみせたがる普通の人間。


 私は知りたい。

 あなたの心の音を知りたい。



「お願い、ご主人様。まだ話し足りない」



 頬に掛かる横髪を弄りながら顎を引く。

 上手くできているかは分からないけど、生まれて始めて私は上目遣いと呼ばれるものをご主人様に向けていた。


 こうすれば喜んでくれるかもしれないという一か八かの賭けだった。



「ずるい……ずるいよ、そんな顔……ずるすぎる」



 呆れを含んだ顔で彼女は語り出す。

 あの日記『エリゼダイアリー』へ綴っていた真実を。



「……始めてミュエルさんが屋敷にやってきた日。

 わたしは嬉しくて堪らなかった。

 憧れの人がメイドになるなんて、夢の中より夢してるんだから。

 ドジを踏みやすいなんて誰も知らない秘密を知れたりして、とにかく幸せを掴み取れる一歩手前までは行けてたと思う。

 でも関われば関わるほど、ミュエルさんはわたしの憧れる聖騎士と距離ができていった……。

 そんなはずはない、そんなはずはないって言い聞かせたんだけど、やっぱり憧れは感じられなくなっていた。

 大好きなミュエル様じゃなくなったのはすぐに理解したし、だからまたいちからこの人を知って愛そうって思ってたんだ。

 二人きりの時だけみゅんみゅんって呼ぶのも、あなたをミュエル様だと思えなくなったからっていうのもあるんだよ……。

 最低だよね……こんなのって……。

 わたし、もうずっと感情が分かんなくて、ずっと絶望してて、明るい感情なんて全然感じないから。

 みゅんみゅんを好きな気持ちも何処かへ消えちゃってて、悲しみとか苦しみとか、嫌な気持ちしか湧いてこないんだよ。

 嬉しいとか、幸せとか、好きだとか、そういうの分かんなくなっちゃったから……だから、ずっと明るく振る舞っていただけなんだよ……。

 ごめんなさい。

 騙して、ごめんなさい。

 嘘ついて、ごめんなさい」


「私も、謝らないといけないことがある。

 ご主人様が何かを抱えていること……ずっと前から知っていた。

 気付かないフリをしてたんだ。

 その時が来れば頼ってくれるはずだからって。

 でもやっぱり、私から壁を破りに行くべきだった。

 ご主人様、何もしてあげられなくてごめんなさい」


「そんな……みゅんみゅんは何も悪くないよ!」


「だったら……! ご主人様だって何も悪くないだろ!!

 一人で背負わないでよ!

 私にも……私にも痛みを分けてほしい……」


「……」


「……」


「……前に、アヤイロちゃんが言ってたんだ。

 エリゼは関わった女の子を不幸にするって。

 やっぱりあれ、本当のことだったんだよ。

 わたしはみんなを不幸にしてきた。

 カトレアちゃん、シャウラちゃん、アヤイロちゃん、ネイハちゃん、メートゥナちゃん、アラン、リューカちゃん……そして、ミュエルさん。

 だから、これ以上みんなの近くにいちゃいけない。

 ミュエルさんと暮らしていけない……」


「私はあなたのメイドでありたい、ずっと側にいたい。

 だから、ご主人様が命令しても私は消えてあげない」


「なんで……そうなるの……?

 わたしは、あなたを不幸にするって言ってるんだよ?」


「ご主人様が勝手に言ってるだけだ」


「……わたしは、あなたを不幸にしたくない。

 だから、もう……構わないでよ……一緒にいちゃ駄目なんだよ!!

 なんでみゅんみゅん分かってくれないの!!」


「そんなの……分かる訳ないだろ……。

 ご主人様こそ全然分かってくれないじゃないか。

 私はずっとずっと永遠に側で居たいんだ!!」


「じゃあ、みゅんみゅんはわたしに大切な人を不幸にしろって言うの?

 大切な人が傷付くのを黙って見てろっていうの!?

 そんなの……耐えられないよ……」


「……人は誰かと関わればその分だけ相手を不幸にすると思う。

 関われば関わるほど少しづつ傷付けあって喧嘩もする。

 それが普通なんだよ。

 不幸にさせた分幸せにだってしてあげられる。

 ご主人様が私にしてくれたように。

 だから……。

 だから私を不幸だと思うな。

 私の幸せを否定するな。

 私の感情を勝手に想像するなっ!

 私はご主人様と一緒に暮らしているのが幸せなんだ!!

 私にとって一番不幸なことは、あなたのメイドじゃなくなることなんだ!!」


「で、でも……わたしはもう汚れちゃってるから……。

 薬とか打たれて、他にも色々……。

 こんな汚い女、みゅんみゅんだって嫌でしょ……?」


「ご主人様、本当にそう思っているのか?

 何度も言ってるじゃないか。

 私があなたの元から離れることはないって」


「あ……うぅ……でも、だめだよ」


「私は何度でも愛を囁く。

 絶対にご主人様を諦めない。

 私は……あなたのことを想っているから」


「う、うぅ……わたし……みゅんみゅんと同じ気持ちじゃないかもしれないよ……?

 呪いのせいで幸せな感情は全部奪われちゃってるから……もう幸せとか分かんないから……」



 『御伽大剣シュガーテール』を手にした代償による永遠の絶望。

 それは現在進行形でご主人様の精神を蝕んでいる。


 ご主人様が負の感情に塗れているのなら、私が幸せにするだけだ。

 不治の傷だろうが永遠の呪いだろうが、そんなものは私の恋で喰らってやる。



「この恋が私の片想いだったとしても別に構わない。

 私はご主人様を……エリゼを振り向かせる努力をするだけだ」


「や、やめて……それ以上は……だめだよ……」



 すぐ側にいるあなたへと歩み寄る。


 心臓の動きを鮮明に理解できた。

 内側を流れる血液もはっきりと感じられる。


 冬が始まろうとしているのに、私の体は熱を帯びている。

 酷く火照った顔は林檎のように染まっているだろう。


 感情を伝えた後に返ってくる言葉が不安で、瞳に涙が滲んできている。


 もっとかっこよく伝えるつもりだったんだけどな。


 それでも言うんだ。

 伝えなきゃいけないこと、伝えたいこと。


 この焔をあなたに贈りたかった。



「エリゼ、あなたのことが大好きだ。私と共に生きてほしい」


「……無理だよ……わたし……誰にも関わっちゃいけないんだから」


「一人になろうとしないでよ、一人が嫌なくせに」



 雪が積もる地面を踏み鳴らして進み続ける。



「こ、来ないで! それ以上近付かないで!!」


「この一週間、私は死んでいた。

 ご主人様がわたしを放って何処かへ行っちゃったから、私は死んでたんだ。

 もう耐えられない、こんな思いをするのはもうごめんだ

 ご主人様は私が居なくても耐えられるの?」


「そんなの……そんなの、無理に決まってるじゃん……わたしだって離れたくないよ!!

 せっかく憧れの人と一緒になれたのに、それを手放すなんてできるわけないよ!!

 でも、そんなワガママ貫いちゃったらまたみゅんみゅんを傷付けちゃうから!!

 だから……もう……離れなきゃいけないんだよ……」


「不幸にするのなら、その分私を幸せにしてくれれば良い。

 私はエリゼを幸せにし続ける」


「こ、来ないでってば!!」



 少女は御伽大剣を構えて威嚇する。

 力無く振り回されるその刃が私に当たることはない。


 だって、当たらないように振り回しているんだから。

 あなたは私を傷付けたくないんだから。


 大剣の柄をそっと握りゆっくりと降ろさせた。


 少女は驚いた顔で言う。



「や、なっなんで……これ、絶望の剣で……触れたら蝕まれて……だって、なんで……」



 大剣を掴んでいる右手を通じて、心を侵す絶望が絶え間無く流れ込んでくる。


 嫉妬、憎悪、後悔、苦しみ、失念。

 あらゆる感情が舞い込み、怨嗟の声が精神を支配しようとしている。


 その絶望は私がついさっきまで感じていたものと酷似していた。

 大好きなあなたが消えてしまった一週間、ずっと感じていた絶望と。


 ご主人様、私はあなたの全てを抱きしめられる。

 あなたと共に生きるこの剣だって例外じゃないんだ。



「ずっと辛い思いをしてたのに、気付いてあげられなくてごめんなさい。

 これからは私があなたを支えるから、二人で生きていこう。

 苦しみは二人で分けて半分にしよう。

 楽しいことは二人で合わせて倍にしよう。

 また一緒に屋敷で暮らそう」


「なんで……なんでそんなに優しくしてくれるの……。

 わたし、みゅんみゅんが想ってるほど良い人間じゃないよ……?」


「ご主人様が大好きだからだよ」



 小さな体を抱きしめると、その手で握っていた大剣は地面へと落ちていった。


 冷たくなった体を暖めるように優しく抱きしめる。

 もう、絶対に離さない。


 体を密着させながらひたいを突き合わせた。

 後ろへ転んでしまわないよう腰に手を回す。


 大好きな顔がすぐそこにある。

 私なんかより余程小さくて可愛らしいあなたが目の前にいる。


 もっと、近くに寄りたい。



「ひぅ……そ、そんな、そんな言葉貰ったら……なっちゃうよ……。

 良いの? こんな汚れた女があなたに並んでも。

 わたし、なっちゃうよ。

 あなたのことを……もう一度……」



 絶望は砕け散った。


 銀天の剣が作り出していた結界は消えていく。

 二人を覆う幻想的な暗雲の空は清らかな蒼を取り戻していた。


 遥か彼方に浮かんでいる太陽は大地を照らす。


 逆光気味のあなたが眩ゆくて、とても綺麗だった。




「みゅんみゅん……わたし、またあなたのことを好きになっても良いの?」




 こちらを見上げるあなたは、頬を赤らめてそう言った。


 私も同じ顔をしていると思う。



「もう好きになってるだろ、エリゼ」


「ずるいよ……そんなこと言うの……わたしも……」



 大粒の涙を流しながら少女は緩くはにかむ。



「す……好きっ!」



 ずっと待っていたんだ、その言葉を。

 想像の中でしか聞けなかった言葉をようやく耳にすることができた。


 不安でいっぱいだった胸の内はひだまりに変わっていく。


 気が緩んだせいか、感情と一緒に涙も溢れ出した。

 嬉しいのに涙が止まらない。


 感情が止まってくれない。



「エリゼ、大好き」


「みゅんみゅん、わたしも大好きだよ」



 水の粒が邪魔をする視界の先。

 あなたも大きな涙を溢していた。


 そして……少女は濡れた瞳を隠すように瞼を降ろして、唇をツンと突き出していた。


 高鳴っていた心臓は破裂してしまうかの如く加速していく。


 軽く傾けた顔をあなたへと近づける。

 すると、私のものとは違う拍動が聞こえてきた。


 あなたも私と同じ感情を抱いてくれているんだ。


 小さな体を抱き寄せるようにして距離を縮める。



 重力じゃない不思議な引力に誘われて、私達は唇を重ね合わせた。



 永遠に続く刹那の中。

 

 私はあなたで満ちていた。


 あなたも私で満たされているのかな。




 絶望に愛を重ねて、少女は恋に堕ちる。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る