1章 ボーイ・ミーツ・ウルフガール(29)
突然、どこからともなく妖の狼男が出てきた。そんな追い風に一瞬絶望したのも束の間、何故かその妖は
意味が分からなかった。彼は予想外の助けで、ふわふわと夢の中、おとぎ話の中のような感触に襲われた。一体何が起こってるのかが分からなかった。なんで妖であるはずの狼男が同類を殺すような真似をしているのか、なぜ人間である三日月を助けたのか、そして、なぜ人間である三日月を殺さないのか。
「おい、三日月、探したんだぞ!」
崖の上から聞こえてきた、そんな声に振り返ってみると、声主は謙一で、他の二人も一緒だった。
「な、何が起こって……」
激しく困惑しながら三日月はそう尋ねる。
「僕にも分かってないんだけれど、僕たちが逃げていたら、突然、あの妖があいつらを一緒に倒してくれて、それからお前のことを伝えたら、一緒に探してくれたんだ」
「安心しろ、三日月、どうやら今はあいつは俺たちの味方らしい」
「癪だがな」
そう三人が説明したうちに、あれだけの数がいた妖はほとんど倒されてしまった。
「おい、立て三日月、さっさと逃げるぞ」
「待って、そういえばユグ爺は?」
三日月の心情は爽やかとは言い難かった。寧ろ悪化していた。あれだけ大口叩いて、「守る」なんてクサい
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます