私をパーティーから追放するんだったら、ちゃんとやってください
仲仁へび(旧:離久)
第1話
私は、冒険者だ。
とあるパーティーの一員だが、見放されてしまったようだ。
「お前をこのパーティーから追放する」
リーダーからそう言われてしまった。
一日の終わり、反省会をした後、リーダーが私に向けてそう言ってきた。
これで、このパーティーから解放される。
私は、ほっとした。
正直言うと、私はもっと輝ける場所があるはずだから。
それなのに、こんな弱いパーティーの所に縛り付けられているなんて、嫌だった。
彼等はみんな揃いも揃って低レベル冒険者。
モンスターを一体倒すのにも、のろのろしてるし。
このパーティーには、メンバーの一人の男性がお金持ちだったから入っていたけれど、その人には恋人がいた。
玉の輿にはなれそうにないし。もう、このパーティーには価値はない。
だから、ほっとしていたのだが。
追放を言い渡したリーダーが、何かもごもご言っている。
「しっ、しかしだな。ちゃんとこれまでの行いを反省するなら、まだ仲間でいてもいいんだぞ?」
何、その善人ぶったことば。
追放するならちゃんとしてよね。
それじゃあ、次のパーティーに入る時に、悲劇の主人公ぶれないじゃない。
リーダーはなおも何か言っている。
「お前は目立ちたがりで、独断先行しがちだが、幸いにも才能はあるんだ。心を改めて、これからは他のメンバーと協調してくれるなら、それが一番だ」
私はイライラしてきた。
なんで、強い私が弱い人間にあわせなければならないのかしら。
実力を考えれば、貴方達が、私にあわせるべきなのに。
「お前の性格じゃ、次のパーティーが見つかるか分からないし、見つかったとしてもすぐにやめさせられてしまうかもしれない。そうなったら大変だろう」
おおきなお世話よ。
次はうまくいく所を、きちんと探すもの。
私の力をきちんと分かってくれるパーティーをね。
だから私は、口を開いた。
心配そうな顔でなおも何かを言いたそうにしているリーダーを見つめる。
「もういいわ。説教は聞きあきたの。さようなら。追放してくれてありがとう」
そして、それだけを言って彼等の前から姿を消した。
せいせいしたわ。
あのパーティーにいた時は、いまいちな成果しか得られなかったけど、これからは、きっとうまくいくはずよ。
一か月後。
問題児だったメンバーを追放した俺達は、依頼を受けるために冒険者ギルドへ向かった。
そこで、依頼を紹介してくれた受付嬢が、「残念だったわね」と話しかけてくる。
「例の彼女、貴方達のパーティーに留まっていれば、無謀な依頼を受けて命を落とす事もなかったでしょうに」
私をパーティーから追放するんだったら、ちゃんとやってください 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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