第27話 選ばれし英傑達 後編

[全てのグループの勝者が決まりました。10分後に上級プレイヤー用決勝トーナメントに出場するプレイヤーの紹介の為に、この地域にいる全てのプレイヤーを《始まりを告げプリミティブる武闘会・カムファタイ》に転移させて頂きます。不参加を希望するプレイヤーはログアウトを推奨します]



 運営よ、それはいろいろと不親切ではないのか?

 私は気にしないが、たくさんの人に迷惑が掛かると思うが?


 ふぅ、血でも飲んでいよう。


*****


 んで、やっぱり広いな。

 だいたい直径500mぐらいか?

 私たちの上には巨大な六面体のスクリーンがあり、出場者たちを映している。見えない人用か。



「やあやあ!みんな~ご苦労だったネ★」

「「「(ウザっ)」」」

「ていうか~、わったしが司会してるの?ねえねえ、わったしはTO★XTU★PUだよ?なんで、こんな事をやってるの?」

「社長がバカな事をした罰ですよ。黙って罰を受けやがってください」

「え~......ごめんなさい!ちゃんとします!」



 秘書が武力行使に出ようとすると、すぐに社長は完璧な土下座を繰り出していた。あそこだけ、違う世界なんだが。


 というより、さっさと始めて欲しいんだが。



「......では、英傑18名の紹介に移りまぁ~すッ!呼ばれたら、自己紹介よろ。後、意気込み的なやつもね★

 第1グループ1位通過、【原転者】アレク!!!」

「「きゃぁあああ!!!」」

「「うおぉおおおお!!!」」



 スポットライトが当てられたのは、金髪青眼の美青年だった。

 白の気品溢れる鎧を身に纏い、背には巨大な剣を背負っていた。



「あー、アレクだ。優勝一筋だ。よろしく」

「お~、いきなり優勝宣言だ!!流石は唯一の人族以外のお方、他とは違う!

 まだ、一人目だけどね★てへっ」

「「「(ウザっ)」」」



 お~、恰好の良いことで。

 戦闘に関しては素人だから、分からないが。気配が一人だけ違うな。

 こういうのを英雄というのか?

 私とは真逆の存在だな。



「第1グループ2位通過、【魂奏者】歌紅夜姫!!!」

「よろしく頼むのぅ。妾はそれなりに頑張るとしようかのぅ」

「「か・ぐ・や!か・ぐ・や!」」

「よっ、元気だね★いいことだよ~。みんな楽しも~」



 闇色に輝く髪をふくらはぎまで伸ばし、紅の瞳を持った日本人形のような女性が喋った。

 美しいとは思ったが、それだけだった。


 気になることは、外野がうるさい事だけだ。アイドルなのか?アイドルっぽいけど。



「第1グループ3位通過、【忍者魂】ハットリ!!!」

「......(ぺこり)」

「......お、う。実に忍者らしい......忍者らしいってなんだっけ?」



 THE忍者みたいな恰好の男性が何も喋ることなく、御辞儀だけで終わした。

 あれもありなのか。



「第2グループ1位通過、【愛♡爆♡裂】リーシア!!!」

「はいはい!わたしの目標は」



 リーシア、1位通過だったのか。

 それで、なんで私に指さしているのだ?



「リズ、一緒に遊ぼう♪」



 くくっ、一緒に遊ぼう、だと。

 今までの相手は倒すか殺すかのどっちかだったのにな。

 遊ぶ、か。いくら、ゲームとは言え、殺し合いだぞ。それに言うことか。

 嗚呼、リーシア。君は残酷だよ。無垢過ぎて残酷だよ。



「えっ、リズ、また変な所でツボってる」

「はははは!......いや、すまない。

 ああ、リーシア。もし当たったら、存分に遊ぼうか」

「言質を取ったからね」

「なんと、意外なことに愛の化身と殺戮の化身はフレンドだった!?」

「「「マジか」」」

「「俺らの天使が......あの悪魔め」」



「第2グループ2位通過、【破戒僧】ムケツ!!!」

「よろぴくぅ♪パリピっちゃう?しちゃおう!」

「うん、わったしと気が合いそうな人種だ」

「「「(ですね~)」」」



「第2グループ3位通過、【毒物マスター】のこのこきのこ!!!」

「皆様方、毒はお好きでしょうか?ぼくはとても大好きです!皆様方も毒に溺れましょう!!」

「「「うわぁ~」」」

「またまた強烈な人だ!この世界ゲームに普通の人はいるのか!?」

「「「(お前が変人筆頭だろ!)」」」



「第3グループ1位通過、【遊戯ゲーマー・オ覇者ブ・ゲーマー】ゲム、!!!」

「やあ、元気かな?みんなも元気に楽しもう。ここではゲーマーとか会社員とか高校生とか関係ない。だから、思いっきり楽しもう!」

「「「わあああぁぁぁあぁあああ!!!」」」

「おー、皮だけ真面。素晴らしいね!」



 という事は、内側は真面ではないのか。

 どんな感じなのか見てみたいな。



「第3グループ2位通過、【古の剣士】桜花!!!」



 姉さんか。

 原型は残っているな。代わりに桃色と金色のメッシュの髪をポニテにしている。

 やっぱり美しいな。かぐや何たらよりも美しい。



「私はやるべきことをするのみ。ただそれだけよ」

「かっこいいですねぇ!いいです、いいですよ!」

「「「きゃあぁあぁぁぁああ!!!」」」



 流石は私の姉。言うことが素晴らしい。見習いたいな。



「第3グループ3位通過、【鉄壁の男】ガイア!!!」

「ガンガイル!お前に勝つ!」

「ふっ、わしが勝つさ」

「お~、素晴らしい!これがライバルというものぉ!わったしも欲しいです!」



「第4グループ1位通過、【混沌堕天】ロスト!!!」

「ふっははっ!!今宵、我は原初を語る魂の祭典にて気高き獅子の咆哮を告げん。さあ、我を称えよ。我こそが神に叛逆せし混沌の使者なり!」

「ここまで来ると、いっそ清々しい。後、今宵ではないし、明日が決勝だからね。分かってる?」

「汝の言い分は理解した。たが、汝はまだ深淵を混沌を認識していないのだ。来る日を待つことが我、【混沌堕天】に届くための儀礼だ。安心して待つと良い」

「分かりたくないね」



「第4グループ2位通過、【防壁】ガンガイル!!!」

「わしはガイアと戦うことだけでいいのう」

「なんという能天気さ!これが年の功というのか!!」



「第4グループ3位通過、【人の皮を被りしあくま】リズ=カムニバ!!!」



 私の番か。何を話そうか。......適当でいいか。



「何も言うことはない。ただひたすらに私の欲の為に感情の為に生きればいいだけ」



 私は出場者の方に身体を向け、思いっきり見下す。

 いや、見下す以外にもあるか。期待するという気持ちが。

 ならば、



「私を愉しませろよ、愚物共」

「おうおう!!流石は最悪最狂のPKプレイヤー!言うことが違う!

 これこそが感情の極致に至らんとする者ォ!グレイトォ!エクセレントォ!素晴らしい!!!」

「社長、素が出てるぞ。やめておけ」

「これこれはすみませんね」



 流石だな。一発で切り替えることができるとはな。



「第5グループ1位通過、【魔物特急モンスタートレイン】烈華!!!」

「えっ、えっと......が、がんばりましゅ。あっ、うう、恥ずかしぃ」

「はい、かわいい。前の人がヤバかったので、癒しだヨ!」



「第5グループ2位通過、【死を齎す風】死宴!!!」

「精一杯務めさせて頂きます」

「いいです、いいですネ★老紳士系暗殺者、大好物です!」



「第5グループ3位通過、【焦熱地帯ファイヤーハート】ほのか!!!」

「リズ、あんたを倒す!」

「おっと、リズはどれだけ人気なのでしょうか。もう二人目ですよ。まあ、顔はいいですからね」

「愉しみにしているぞ」

「あんたなんか燃やし尽くしてやるんだから!」

「地味に残忍だァ!女はこわ......ぐはっ!」

「黙りやがれください」



 うわぁ、殴られてる。あれは確実に明日腫れるやつだな。



「第6グループ1位通過、【銀麗の翼】ルシア!!!」

「えっと、がんばりますっ!」

「「「きゃあぁああああ、かわいい~~~!!!」」」

「「「hshs」」」

「「「今日もかわいいよ!!」」」

「お~、これは胸がずっきゅん来ました。これで男なんだぜ。世も末だぜ」



 うわぁ、愚兄。もう女だな。

 銀髪青眼のロり体型。オタクが好きそうな奴だな。

 後で揶揄ってやるか。



「第6グループ2位通過、【THE主人公】ヒロ!!!」

「えっと、できることを頑張りたいです」

「堅実な発言、それも好きですよ。わったしとは違うのを見ていると興奮しますね!hshs」

「「「(キモっ)」」」



「第6グループ3位通過、【新なる聖母】クァレファス=バイレビュク=ドゥレイシュ!!!って長げぇんだよぉ!!」

「は~い」

「......それだけかよ!」



「はい、全員の紹介が終わったぜ!ということで、お待ちかねの抽選タイム......



*****



 これにて解散!現実時間の3:00からスタートだ。

 なんと、時間加速アクセルクロック3倍速トライアルⅢ)を時間加速アクセルクロック5倍速トライアルⅤ)にします!

 さらに、決勝戦終了後にわったしからのプレゼントがあるよ♪

 楽しみにしててね!では、さらばだ!」



 明日、か。どんな悦楽が待っているのだろうか。

 嗚呼、待ち遠しい。人を食べるのもいいが殺すのもいい。

 くはは、リーシア。愉しみにしているぞ。

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