第20話 狼煙が上がる刻
無人の村で第1回イベント《
今日、現実時間では3:00にスタートする。
現在は2:58なので、もう少しだ。
私はあまり気乗りはしてないのだが、神々の件や姉さんたちのお願いもある。
適度に頑張ろうか。
......人を食べれるのなら全力で挑むのだがな。まあ、仕方ない。
くだらない事を考えていると、私が立っている地面が光りだした。
運営は転送が好きなんだな。と、またくだらない事を考えながらイベント会場へ転移した。
*****
目を開けると、祭りのような風景が目に飛び込んできた。
たくさんの屋台が立ち並び、最奥にはコロッセオらしき建物があった。
屋台を開いているのは生産系に力を入れているプレイヤーだろう。
自分の趣味に真剣に打ち込む姿勢、実に素晴らしい。これからも、頑張って欲しい。
それはそうと、何故私の周りに人がいないのだろう。
ここに居るプレイヤー全てが遠巻きに私を見ている。
「誰?あのイケメン。しかも、何故か貴族服を着ているんですけど」
「えっ!お前、知らないの?あの人は食人鬼だよ」
「地獄直葬事件の!?イケメンじゃね!」
「女性よ」
「「「マジで!?」」」
「胸が......」
あ?
「胸が、なんだ?言ってみろ」
「えっ!お、おれぇ」
「貴様以外に誰がいる?さあ、早く。言え。胸が、なんだ?」
「ちょっ、胸倉掴まないでください。あ、謝りますから」
「謝らなくていい。さっさと言え、愚物。続きを言え」
「ええぇ~」
「「「(893?)」」」
私の美しい体を貶そうとした愚物を懲らしめようと、手に力を込めて殴ろうとすると、
「「「「「やめろ!」」」」」
それぞれ赤青黄桃白の単色で作られた服を着ている男女が止めてきた。
......ぷっ。ふっ、ふふ。
「ぷっふ、...ぷすす。くっ、くはは!何、そのダサい格好。戦〇ヒーローを真似したかったら、もっと容姿にこだわれよ。ははっ、くははは!ヤバいな。威力が高すぎるぞ!くはははは!!!」
ヤバっ!ははは!もうダメ。
怒りがおさまってしまったな。
ヒーローの才能があるんじゃないのか?
「なっ!?この格好の良さが分からないのか!?」
赤の男、【情熱の赤】レッドがまたも面白いことを言う。
あまりの可笑しさに腹を捩らせて笑う。
「罵ることしか能にない愚か者、か」
青の男、【冷徹の青】ブルーが的外れのことを言う。
それも面白く感じ、笑いの勢いを増させる。
腹筋が崩壊してしまうな。
「むぅ~。なんか腹立つなぁ」
黄の男、【陽気の黄】イエローがぷんすかと言う。
こうなったのはお前らが悪い。と、言いたいのだが、大声で笑ってる最中で声を出すことができない。本当にッ、威力が高すぎるな!
「やっぱり言ったじゃん!もっと可愛くした方がいいって!」
桃の女、【可憐の桃】ピーチ♡がきゃんきゃんと言う。
見た目を直す意見には賛成だが、この格好にフリルなどが付いてると思うと......ヤバい、また笑いが止まらなくなる。
「そんなことよりも、食人鬼をどうにかしましょう!」
白の女、【神聖の白】ホワイトが凛とした声で言う。
ああ、忘れていた。私は怒っていたのだったな。
まあ、今はどうでもいい。
私を楽しませてくれたお礼で見逃そうとするか。
「はは。久しぶりにこんなに笑ったな。フェリス以来か?」
「何を変なこと言っている!お前が起こした所業、忘れていないからな!」
「私は貴様らに何かした覚えはないが?こんな格好していたら、嫌でも覚えるからな」
「お前の軽率な行動が何人の幸せと心を踏みにじったと思っている!?」
「知らないな。私は私の欲を満たす為にこの
「あなたの欲望が人を食べることなのですか?」
「決まっているだろう?それ以外何があるというのだ?」
「「「(気持ち悪い)」」」
「ないですね」
「社会不適合者め」
「どうしてあなたはこうなったんですか?」
「
後ろで『待て』などが聞こえてきたが、無視して足を進める。
面白い人たちに会ったな。
昔の私なら仲良くなれていただろうか?......いや、私は私だ。過去現在未来一人だけだ。
私は家族の為にここに居るのだ。
忘れるなよ、人形 真理。
*****
屋台で焼き鳥(きもとつくね)を5本買い、歩きながらコロッセオもとい《
巨大で荘厳で神聖で絢爛な建物だな。
悪意神マリス、時空神ラウム、悪魔神ディアなどの神に近しいものも感じられる。
ここで戦うと思うと、少しだけ憂鬱になる。
建物の中に入ると、白い部屋になっており、神々の像が迎えてくれた。
前に15体の神々。後ろにでかい脳の像があった。
上位神 太陽神ソレゾネ
月夜神リュルーナ
天空神フィルト
海洋神ゼア
大陸神ティネルト
時空神ラウム
種族神レス
善意神ヴィルテ
悪意神マリス
破壊神リュクシオン
維持神エアハルト
創造神クレアシオン
属性神ナチュア
技能神キルス
役職神ワリホーク
最上位神
この
悪魔神は中位なのかもしれないな。
この
だが、私のすべきことは決まっている。
人を食べること、それだけだ。
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