第18話 神に踊らされる悪魔
いつものようにして『DEL』の中に入ると、何時ぞやの白い空間にいた。
前回はマリスだけだったが、今回はマリスの横に二人の男女がいた。
男の方は虹色の髪とオパールの様な瞳。とても鬱陶しい。だいたい190cmぐらいだろうか?筋肉質で上半身裸である。そして、ふてぶてしい程に仏頂面でイケメンが台無しになっている。
女はバイオレットの髪、右目が真紅で左目が黒。そして、最も目立つのが顳顬と本神、神庭から伸びる五つの金色の角。禍々しさと神々しさを示す偉大なる角。そして、グラマラスだ。赤く、露出が多い鮮烈なドレスを着ていた。妖美な雰囲気と艶めかしさに目を一瞬奪われた。傾国の美女、否、傾世の美女だった。
厄介事の香りしかしないな。
「リズ様、お久しぶりです」
「久しぶりだな、マリス。それで、隣の二人は誰?」
「こちらは......」
「我は時空神ラウムだ。あれだ、《
「わたくしは悪魔神ディアよ。【悪魔を宿す者】で干渉した神よ。それよりも、貴女は素晴らしいわね。まさか、わたくしの予想を超える
「ああ、よろしく」
まさか、この神々だったとは思わなかった。
それよりも、どうしてこの間に呼ばれたのだろうか。
この2週間、ここに来たことはなかったのだがな。
「どうして私を呼んだ?」
「相変わらず傲慢ですね。それで、呼んだわけですね。ワタシはリズ様に第1回イベント《
「ワタシは、か。二柱の神は違った要件ということか」
「そういうことです。それで、参加いたしますか?」
「参加することは決まっているが、概要が分からないんだよ」
「メールに送られているものを確認すればいいと思いますよ」
「仕事をしろよ、マリス」
「休養も大事なのです」
「......(だめだな、こいつ)」
まあ、確認するか。
*****
第1回イベント《
はい、拍手! (*´꒳`*ノノ゛パチパチ.
*****
ああ、もう読みたくない。
何故、調子を上げて説明をするのだろう。別に機械的でいいだろうに。
まあ、ここの運営は
はあ、読むか。
*****
うざい、嗚呼うざい。
あんまり私はこんな言葉や気持ちにはならないのだがな。運営には人を不快にさせる才能があるな。
しかも、説明はちゃんとしているのがさらに腹が立つ。
まあいい。
概要としては
・公式集団PVPとトーナメント式PVPをする。
・種族LV.ごとにグループ分けされる。
LV.0~15まで→第1グループ
LV.16~35まで→第2グループ
LV.36~50まで→第3グループ
・種族LV.50以上の場合、LV.50に引き下げられる。
・役職が第二位階の場合、第一位階に降級され、役職LV.50にされる。
・第3グループ内で約1000人に分けられる。合計6つに分ける。
補足:現在、日本の総プレイヤー数は100万。おかしいと思ってはいけない。
というより、よく一つの鯖でできるな。
・約1000人で殺し合い、3名になるまで続ける。
・フィールドの広さは10km×10kmで、5分経つごとに100mずつ狭くなる。
補足:100m×100mまでになると、進行は止まる。
・フィールド内ではPKしてもドロップしない。
・フィールド内ではスキルや称号が手に入ることはない。
・フィールド内には装備一覧とポーション10本と補助食5個だけが持っていける。
・フィールド内で装備が壊れても、イベント終了後に修復される。
・それぞれの組で生き残った18名でトーナメントを行う。
・シード権が二つあり、予選で最もプレイヤーを殺した人ともう一人はくじで決める。
・過度な殺害をした場合、退場する。
・トゥルーススキルの使用は禁止。
・R18に該当する言動や行動や他プレイヤーを不快にする言動、行動を行った場合、この
・全力で楽しむこと。
だな。
問題はないが、過度な殺害は基準が分からないな。
聞いてみるか。
「マリス、過度な殺害とは何か教えてくれ」
「かしこまりました。リズ様がよくする方法が当てはまりますね」
「えっ、はあ?」
「というより、この禁止事項は一応、全体への忠告になっていますが、完全にリズ様個人向けて送った忠告ですね」
おっ......。えっ、ええ~。
「......そんなに残酷に殺していたか?」
「心に聞いて、と言ってもリズ様には人の心がありませんからね」
「そこが素晴らしい点だと思うわ」
「同じく」
「おい、出て来るな!時空神、悪魔神」
「まあまあ。リズ様はこの世界で一日前に村を滅ぼしましたよね」
「そうだな」
「殺す前に口が出てましたよね」
「そりゃな。目の前に肉があれば、我慢できるわけないだろう」
「流石だわ。いい欲望ね」
「人の身に過ぎる精神だ。素晴らしい」
「うるさいですよ。それで、その行為がOUTという判定に至りました。イベントでは食事よりも殺害を優先してください」
食事よりも殺害か。そっちの方が残酷だと思うんだがな。
まあ、マリスは悪意神。
食事という本能よりも殺害を行うときの悪意の方が甘美ということか。
「分かった。殺害を優先する。マリスに
「それは嬉しいですね。期待してますよ」
「ああ」
「話は終わったか。では、我らの要件を聞いて貰おう」
嗚呼、絶対に、確定で面倒な内容だろうな。
「我からはこれを発注しよう」
時空神ラウムが指を鳴らすと、目の前に灰色のウィンドウが出てきた。
*****
クエスト名:
期限:
内容:
試練は絶対クリアしなくてもいい。ただ、愉しませろ。
報酬:君の望み、3つ叶えよう。
我から言うことはない。ただ、愉しませろ。
君の人間の身に余る狂気を見せろ。
*****
うわぁ、私の事嫌いなのかな?
まあ、嫌われるとかどうでもいいけど。
しかも、こいつ許可なくクエスト発注したな。
初めてのクエストだというのに。
はあ、拒否権はないのだな。
よし、せっかくだ。
狂気の使者のような感じで答えよう。
愉しんでもらえるかな?
「面倒くさいが、愉しませてあげよう!私の狂気の深淵を!」
「ふっ、愉しませろ」
よし、クリアだ。
ずっと無愛想だった顔に愉悦が広がり、嘲笑った。
もしかしたら、今まで面白い経験をしたことがないのかもしれない。
そうでなければ、嬉しいという感情が嘲謔になるなんてことはないだろう。
とても可愛そうに思えた。
やはり、生命を創るのは幻想......でもないか。
まあ、私が気にすることではない。
「よし、次はわたくしの番ね。これを発注するわよ」
拒否権はまたないのか。
*****
クエスト名:
QR:EX(適当)
期限:無制限
内容:
【悪逆の魔王】レバンザック=インフォ二カの殺害。
悪魔系統種族への転生(お願い、貴女との繋がりを感じたいのよ)。
【
報酬:トゥルーススキルを3つあげるわ!
神具【
もっと人を食べる方法を教えるわ!
悪魔系統種族への転生はイベントが終わってからヒントをあげるわ!
わたくしをもっと驚愕させなさい。嗚呼、貴女はとても面白いわね。
何時でも見ているわ。頑張りなさい。悪の限りを尽くすのよ。
*****
......具体的なせいで恐ろしさが分かる。
これは無理じゃないか?
【
狂愛と同じ魔王、【悪逆の魔王】の殺害。
ああ、頭が痛くなる。
まあ、報酬が気になるから頑張るか(一番下な)。
「頑張りますよ、悪魔神」
「ええ、わたくしに悍ましき快楽を与えてね。期待しているわ」
「リズ様、時間です。悪しき人生を」
「「悪しき人生を」」
なんだそれ。
でも、いいな。
「悪しき人生を」
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