交換人生
自分の人生に不満を抱えていた男は、自分の財産を譲るという条件で、別の人と人生を交換することにした。
最初は、美人の若い女性に交換を持ちかけたが、どの女性たちも「私の人生は不満ばかりです」と口をそろえて断った。
次に、裕福なお金持ちに交換を持ちかけたが、どのお金持ちも「私の人生は不安ばかりです」と口をそろえて断った。
仕方なく今度は、街の犬猫に交換を持ちかけたが、どの犬猫たちも「私の人生は危険ばかりです」と口をそろえて断った。
最後に会った若者だけが「私は、生まれたときから死ぬまでずっと素晴らしい人生ですよ」と笑顔で合意してくれて、人生交換が成立した。
ところが、説明していたのとは違い、その若者の人生は不幸からはじまり、いくつもの不幸が立てつづけに起こった。
交換前以上に安全に注意して行動しても、身の危険は向こうから近寄ってくる。助けを求めても、誰も守ってくれないどころか、逆に攻撃までされた。
その若者がいかに不幸な人生を送ってきたのか。男はその若者の人生を生きたことでようやく、被害者の気持ちを理解することができた。
おわり
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