金レンガの家
森の中。二人の開拓者は、金レンガを使ってそれぞれの豪邸を建てることになった。
一人目の開拓者は、自力で金レンガを運んで積んだ。金レンガは高コストな上、一人で運ぶには重かった。
それだけでなく、敵のオオカミが襲ってくることもあり、思う通りに作業が進まなかった。
オオカミから逃げ回れば大抵は森の奥に迷い込むものだ。ところが、その日に限っては、立派なタワーマンションが森のど真ん中に建っていた。
中から二人目の開拓者が姿を現し、一人目の開拓者に自慢した。
二人目は少量の金レンガを莫大なお金に変え、大量の木材を買ったり、自分の代わりに作業してくれる人を雇ったりすることで、巨大な木のタワーマンションをわずか数日にも満たないうちに完成させたのだ。
その上彼は、一人目の豪邸がトイレよりも小さいのにまだ完成していないこと、金レンガをそのまま使うのではない別の材料と交換すれば良いのにと、その頭の悪さを嘲笑った。
先に悠々自適に暮らす彼に煽られ、一人目の開拓者は怒り心頭になった。
「そこらへんのトイレと一緒にするな。俺の豪邸だ、金レンガの小屋で何がおかしい」
一人目の開拓者は懸命に何日も働き、ようやく、トイレぐらいの大きさの金レンガの小屋を完成させた。
しかし、二人目はその小屋を実際に見て、やはり一人目をばかにする。一人目が怒ったことで、二人の開拓者は大喧嘩になってしまう。
二人が喧嘩していたところへ突然、オオカミが襲いかかってくる。一人目が気づいた時にはもう遅く、オオカミは金レンガの小屋を体当たりで壊してしまった。
「だから、金レンガの小屋はしょぼいんだよ。お前も俺のタワーマンションに住もうぜ」
二人目は小屋が壊れたことを笑いつつ、一人目を自分のタワーマンションに案内する。
自分には今夜も優雅なひとときが待っている、と期待の口笛を吹くが、二人目が到着した場所にあったのは、大量の木材の残骸だけ。
二人目も気づかないうちに、オオカミに木のタワーマンションを取り壊されていたのだ。
「お前もお前で、しょぼいじゃないか」
さっきまでは散々ばかにしていたくせに、一人目に同じことを言い返され、二人目は頭に来た。
また喧嘩が起きてしまったが、敵のオオカミが近寄ってくるのに気づくと、二人は怯えて一緒に一晩中、森中を逃げ回った。
おわり
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