コインは約束の砂
その女性は貧しい生活を、近所の若者たちから見下され、毎日のように執拗な嫌がらせを受けていた。
若者たちに嫌がらせをやめてもらうようお願いする用のお金を用意すべく、女性は昼も夜も懸命に働いた。
お金が充分に貯まり準備ができると、女性は若者集団の拠点へ向かった。
「お金をあげるから、嫌がらせはもうやめてください」
一生懸命稼いだお金を差し出し、若者たちにお願いした。
若者たちはすぐに謝罪し、それからは嫌がらせをしなくなったように見えた。
ところが、何日か経ったある日、若者たちは再び嫌がらせを始めた。若者たちは反省などしておらず、女性からお金を横取りしていたのだ。
「期限が切れたからだよ。延長したければ、もっともっとお金を持ってきてよ」
女性が若者たちに集団で囲まれた時、どこからか一人の青年が助けに現れた。
「お金は人と人同士が約束を結ぶために使うもの。人権はお金で買うものじゃない。彼女はしっかりお金を払っているのだから、嫌がらせはもうやめろ!」
青年に一喝された若者たちは、面倒くさがりながら
「わかったよ。すぐにお金を払うから今回は見逃してくれよ」
と女性から取ったお金をすべて、青年に差し出そうとした。
「逃さないよ。お金を使う上で約束を守ることは大前提なんだ。決して、何をやっても許してもらうための魔法じゃない。これから君たちには警察署に行ってもらう」
青年の正体は、私服を着た警察官だった。
おわり
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