こもり太

 その昔、晴れの日も雨の日も、ずっと家に引きこもってばかりの男がいた。


 今日は楽しいお祭りの日。たくさんのお肉やお野菜が並べられ、大人も子どもも村に住む人全員が集まってにぎわっていた。


 しかしお祭りの参加者に、例の引きこもりのこもり太だけはいなかった。


 せっかくの楽しいお祭りの日なのに、どうしてこもり太は外に出ないの?


 気になって気になって、挙句にはお祭りそっちのけで僕はこもり太の家を訪ねた。



 こもり太が一歩も外に出ないのには、理由があった。


「毎日、毎日、大事な人が、たくさん、亡くなっているから」


 大事な人がたくさん?

 引きこもりのはずのこもり太に、百人も友だちや恋人がいるとは、とても思えない。


「動物さんもお野菜さんも、この世界に住むみんな、大事な友だちなんだ」



 こもり太って、ふしぎだなぁ。



おわり

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