僕は破局危機かもしれない…

紫倉野 ハルリ

僕の彼女

僕には彼女がいる。

自慢じゃないが、とてつもなく美人だ。

彼女は気遣いもできるし、話も面白い。

いつだってお淑やかで、触れたら壊れてしまいそうなほど美しい。


最近付き合い始めた僕たち。

美人な彼女と一緒にいられて毎日が幸せ

…なはずだった。


ここ数日の彼女の様子がおかしい気がする。

絶対に変だ。

毎日一緒に大学から帰っていたのに、最近の彼女は僕と帰ってくれない。

避けられている気がするのだ。


最初はゼミやらサークルやらで忙しいんだと思っていた、いや、そう信じたかった。

だがしかし!僕は昨日、目撃してしまったのだ…

大学近くにある有名なラブホ街で彼女が男と二人で歩いている姿を…!


「まさか…、僕の自慢の彼女が…」

「まあ、彼女のこともわからなくないよ。だって君、普通じゃん。」

「お、お前…よくもそんなこと…」

「いや、あんなに可愛い彼女が君にいること自体不思議だと思ってたんだよ。遊ばれてたんだって。」

「あ、あ、あそッッッ…!」


遊ばれてた…

あそばれてた…

アソバレテタ…


「…ッッッッ」

「おい、泣くなって…、冗談だよ。きっと何かの見間違いさ…

………多分。」

「…ッッッッ!!!」


その後、僕は一晩中泣いた。

泣きまくった。

そして翌朝、


…目が腫れた。


「おはよう!…って目、どうしたの?腫れちゃってるよ?」

「あ、おはよう。これは…その…

…………君のことで…」

「私のこと?ごめんなさい、私、君がこんなになるほどのことしちゃった?」

「そ、その…先日…君が、ラ、ラブッ、ラブホ街を、その、男の人と…、歩いているところを見かけてしまって…」

「え?!私そんなことしてな…、あ。それって一昨日?」

「うん。」

「それ、一緒にいたの、弟なの。」


ええええええええええ

弟?!

ライバルは弟!?

待って、僕は弟との禁断の関係をバレないようにするための飾り?!

やっぱり、遊ばれてたんだ………


「あのね、その日…、や…」


や?

や…

ヤ!?

『その日ヤりました』ってこと?!

いや、いいよ、いらないよ!!!

なにその報告!?

僕ら、その一線まだ越えてなかったのに、弟とはすることしてた報告しないでよ?!


「焼き鳥屋さんに行ってたの!!!」

「え…?焼き鳥??」


焼き鳥?何かの隠語?

え?なに?一種の猥談かなんか?


「あのね、私、焼き鳥が好きで…、だけど、大学ではなんか、お淑やかとかおしゃれとか言われちゃって、言い出しづらくて…それで…」


え?

焼き鳥って、僕が知ってるあの焼き鳥?

確かにとんでも美人な君のイメージとは違うけども…


「焼き鳥…、好きなの…?」

「うん…、やっぱり、焼き鳥好きな女なんて嫌だよね…。もっとパンケーキとか好きな子の方がいいよね…」


「そんなことない。むしろその方がずっといい。好きなものを好きだって素直に言える君は素敵だよ。」

「…本当?嫌いにならない?」

「もちろん!」


こうして僕の彼女の浮気疑惑事件は幕を閉じた。


…はずだった。


彼女の焼き鳥好きは僕の想像以上だった。

最後にこれだけ伝えたい。



僕の彼女の部屋着が、焼き鳥柄だったことを…

なに着ても可愛いんだけど…

いくらなんでもそれはやり過ぎじゃない!?

初めてのお泊まりの思い出は焼き鳥柄じゃなくてジェ○ピケのモコモコルームウェアがよかったーーーーーーーー………

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僕は破局危機かもしれない… 紫倉野 ハルリ @a_85

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