徒詩 #8.1

今年も桜が散っていくね


寂しそうに呟いた彼女は

蒼穹そうきゅう欄干らんかんを背景にして

微笑み乍ら視線を落とし

地面を濡らしていく桜を

丸い爪先の靴で小突いた


あまりにも綺麗だから…


欄干を軸に後方に回る体

最後の言葉は聞き取れず

君は花筏はないかだを一瞬だけ崩し

流れる川は春を散らした

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